3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

そーせいグループ(銘柄コード:4565)

どうもこんにちは。決算書マンです。

今回はそーせいグループ(銘柄コード:4565)を取り上げたいと思います。

ちなみに私が証券会社の営業マンだった時には、どの証券会社もそーせいを推し銘柄としており、大流行していました。

そして持っていたお客さんは「そーせいには無限のポテンシャルがある。まだ上がる。」という人が大半でした。 その時点で買値から10倍になってたのに。

(ちなみに私が推奨して買ってもらったのではない。お客さんがたまたま買っていただけ。)

それでは見てみましょう。

 

 

★売上高

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※単位:百万円

 

2014年→2017年にかけて売上が毎年倍々ゲームで推移しています。

この時点ではたしかに無限のポテンシャルを感じますが、2018年には何が起こったのか売上が急減しています。

 

 

★営業利益

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※単位:百万円

 

売上が倍々ゲームだった2015年→2016年ですが、営業利益はさほど変わっていません。

そして2017年には営業利益がトンデモないことになっていますが、2018年には直滑降しています。

細かく調べていくと、2016年~2018年にかけて研究開発費と販管費はそこまで変わっていませんでした。

そういう意味では暫定的ですがこの2つの費用は固定費と捉えるが出来ます。

つまりは「研究開発費+販管費損益分岐点」ということになり、2017年は売上が激増したために余裕でこの損益分岐点を超えて大幅な増益になった、ということになります。

キーポイントは「研究開発費と販管費が今後どういった推移を見せるか」と「安定して損益分岐点を超える売上を達成出来るか」だと思います。

 

 

★純利益

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※単位:百万円

純利益の推移も営業利益の推移と似ていますが、いずれにせよ安定はしていません。

 

 

 

★売上高&営業利益&純利益

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※単位:百万円

 

2017年だけ異常値を記録しており、あまり見ても意味がない気がします。

 

 

 

★在庫回転日数

★売上高&在庫回転日数

 

 在庫を持たないビジネスモデルなので省略します。

 

 

流動比率 

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手元流動性は潤沢にあるようです。



 

自己資本比率 

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自己資本比率もかなり高い。

財務基盤は強固なようです。 

 

 

 

ROEROA

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参考にならないですが、2017年の「ROA=約20%」はめちゃくちゃ良い数値です。

これが今後再現出来るかは売上次第。


 

 

★営業CF 

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※単位:百万円

 

なんとも言えない数値が並びます。

良い年度もあれば怪しい年度もある・・・。

 

 

 

★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:百万円

 

お金は売上があろうとなかろうとそれなりに使っているようです。

 

 

 

★実質FCF

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※単位:百万円

 

見ての通りで安定はしていません。

 

 

★設備投資比率

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2018年に関しては営業CFがそもそもマイナスなので数値としては意味を成していないです。

そして全体的に一貫性がない。

稼ぎに関係なく、必要な時に必要なだけ設備投資をしているようです。

 


 

★予想純利益

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※単位:百万円 

 

来期予想純利益はコンセンサス予想だと更なる減益なのでそれ以降は記載しません。

とりあえずもっと頑張れ、といった感じです。

財務基盤が強固なのがせめてもの救い。

 

 

 

★予想純利益に基づくPER

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※株価は2019年月日 

※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定

 

※「利益を出し続けている限りは銀行や投資家はお金を貸し続けてくれる」という仮定のもと、借入金の返済義務分は株価のバリュエーションに組み込まないこととする

 

PERは当然のごとくマイナスです。 

 

 

 

★成長率を加味した理論利回り

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※理論利回り(%)=1÷PER

 

損益分岐点を超える売上を達成出来なかったら保有し続ける限りは毎年6.5%くらい損失が出るようです。

ちなみにこの会社は業績予想を出しておらず、理由は「売上はこちらでのコントロールが不可能だから」だそうです。

ざっと有価証券報告書を読んだところ、あくまでもこの企業の売上は「提携先の大手製薬会社の研究開発事情に依存する」ので、新薬開発の種をいくらそーせいが提供しようと提携先の大手製薬会社が「ウチの都合でこの新薬の開発は後回しにする。だからライセンス料はそーせいにはまだ支払えない。」となる可能性があるみたいです。

 

 

まとめると、

 

・2017年までは倍々ゲームで来れたが、そのあとが続いていない

・研究開発費と販管費を抑えて、いかに売上が挙がるかがこの企業の肝(当たり前か)

・財務基盤は強固

・売上が予測出来るのであれば、この企業に投資するのは良いかもしれない

 

  

ということになります。

 

直近で「アストラゼネカから1,500万ドルのライセンス料の受領」のニュースがあって株価が上がっており、「なんで?」と思ってましたが、決算書を読んだらその理由が何となくわかりました。

そういう意味では意外と効率的なマーケットだと言えます。

ただ最新の四半期報告書では「研究開発費と販管費による支出」が前年同期比で割と多くなっていたので、損益分岐点は上がっている可能性があります。