ペイパル(ティッカー:PYPL)の決算書
どうもこんにちは。決算書マンです。
今日は日本市場が休みであまりにもヒマなので、本日3本目の企業として以前に「ダニエル・ローブのポートフォリオ」で上位保有銘柄として出てきたペイパル(ティッカー:PYPL)取り上げたいと思います。
オンライン決済プラットフォームの代名詞として定着しつつあるペイパルですが、どうなっているのでしょうか?
余談ですが、最近「ペイパルでの決済」をする場面が増えてきたように思います。
それでは見てみましょう。(なお、上場が2015年のためデータは3年分です)
★売上高
※単位:百万ドル
順調に伸びています。
★営業利益
※単位:百万ドル
こちらもまた順調に伸びています。
★純利益
※単位:百万ドル
順調そのものです。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:百万ドル
3年分のデータしかありませんが、何をどう見ても順調に業績が伸びているようです。
★在庫回転日数
★売上高&在庫回転日数
そして在庫を持たないビジネスモデルというオマケつき。
素晴らしい。
★流動比率
手元流動性は普通。
自己資本比率は減少傾向です。
そして割と低い。
全体的には財務基盤は中の下といったところでしょうか。
パッと見ではROEは伸びていて「利益効率が良くなってきている!」と言いたいところですが、ROAはあまり変化していません。いわゆる自己資本比率マジックです。
とは言え業績を順調に伸ばしながらも利益効率は一定に維持出来ているのは良いと思います。
けれどもその絶対値はあんまり高くない。
★営業CF
※単位:百万ドル
営業CFもちゃんと純利益より多いので、良い感じです。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:百万ドル
2015年のみけっこうお金を使ったようです。
★実質FCF
※単位:百万ドル
自由資金は割と残せています。額自体はコンスタントではないけど。
★設備投資比率
会社買収を含めると2015年はけっこうお金を使っていましたが、設備投資費だけだと毎年一定割合に抑えているようです。
しかし絶対値は低めとは言え、設備投資費は意外とかかっている印象です。
★予想純利益
※単位:百万ドル
※2015年~2017年の営業利益平均成長率:+20.66%
アナリストの来期のコンセンサス予想はもちろん増益。
このペースで行くと5年後にはいまの5倍くらいの規模感になっている計算です。
現実的かどうかはよくわかりません。
★予想純利益に基づくPER
※「株価=90.65ドル」で計算
※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定
※「成長率が3年間継続」は今後3年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定
※「成長率が5年間継続」は今後5年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定
※「利益を出し続けている限りは銀行や投資家はお金を貸し続けてくれる」という仮定のもと、借入金の返済義務分は株価のバリュエーションに組み込まないこととする
現在は割と高めのバリュエーションなようです。
そして規模が5倍になったとしてもようやく普通くらいのバリュエーションに落ち着く程度です。
とりあえず安くはない。
★成長率を加味した理論利回り
※理論利回り(%)=1÷PER
年率でだいたい2~6%くらいの利回りを期待するのが現実的なように思います。
もしかしたら期待を超えて会社が成長するかもしれませんが、なにぶん景気後退時の実績がないので、そういった時に業績がこれまで通りに推移出来るのかどうかはビミョウなところです。
まとめると、
・会社は順調に成長している
・しかも利益効率を維持しながら成長している
・しかし利益効率はそんなに良くはない
・財務基盤は中の下
・経営は堅実
・設備投資費が意外とかかっている(設備投資比率の絶対水準はそれなりに低いけど)
・株価のバリュエーションはけっこう高め
・景気後退時に業績がどうなるのかが非常に気になる
ということになります。
将来性や話題性があるのは周知の事実ですが業績も申し分がなく、決算書を読む限りでは「やはりダニエル・ローブはファンダメンタルズ寄りの人なのではないか」という仮説が強化された感じです。
とりあえずこの企業は個人的に今後もチェックしていこうと思っていますが、景気後退時に業績が何とかなっていたらば、バリュエーション次第ではかなり良い投資先になるのではないかと思います。