3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

ブライトパス・バイオ(銘柄コード:4594)の決算書

どうもこんにちは。決算書マンです。

今回はブライトパス・バイオ(銘柄コード:4594)を取り上げたいと思います。

 

またしてもバイオ銘柄、そしてまたしてもガン治療薬関係。

既にフラグは立ちまくりですが、どうなっているのでしょうか? 

それでは見てみましょう。(データは2015年~2018年のものです。) 

 

★売上高

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※単位:千円

 

売上高はキレイに下がっています。

この企業は他の創薬ベンチャーと同じく、「新薬開発の進捗状況に応じたマイルストーン収入」と「新薬販売後の売上に応じたロイヤリティ収入」の2つが収益の軸としてあるので、自ら売上のコントロールは出来ないようです。 

 

 

★営業利益

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※単位:千円

 

営業利益もキレイに(?)損失が拡大しています。

 

 

★純利益

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※単位:千円

もうここまで来ると逆に清々しいです。 

 

 

★売上高&営業利益&純利益

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※単位:千円

 

売上の減少に合わせて損失は拡大しています。

いちおうどの年度も売上高から売上原価を引いたものである「粗利益」は出ていたので、単純に研究開発費と販管費によって損失幅は左右されるみたいです。

 

 

★在庫回転日数

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※単位:日

 

在庫の回転は速くなっているようです。

 

 

★売上高&在庫回転日数

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※左軸:売上高(千円) 右軸:在庫回転日数(日)

 

売上が減少して在庫の回転が遅くなっていたら目も当てられないほどでしたが、在庫の回転は速くなっているので、在庫管理自体はちゃんとしているようです。(当たり前か。)

 

 

 

流動比率 

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やはり他の創薬ベンチャーと同じく流動比率はめちゃくちゃに高いです。 



 

自己資本比率 

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自己資本比率も同じく高いです。

なんならばこれ以上ないってくらい高いです。 

財務基盤の強さは今まで見てきた創薬ベンチャーの中でおそらく最強。 

どこも総じて強いですが。

 

 

ROEROA

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パッと見では「改善してるじゃないか!」となりそうですが、損失の拡大以上に資金調達をして自己資本を充実させているだけなので、あまり意味はないです。

というかそもそもROEとROAは「利益が出ている企業を比較する」分には有効なものなので、赤字企業を比較するのには向いていません。

 

 

 

★営業CF 

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※単位:千円

 

まあ、こうなりますよね。 

そもそも期待していないです。

 

 

 

★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:千円

 

営業CFのマイナス拡大に合わせて投資CFのマイナスも拡大しています。

完全にイケイケドンドンな経営です。

 

 

★実質FCF

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※単位:千円

 

コメントなしです。

 

 

★設備投資比率

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そもそも営業CFがマイナスなのであまり意味はないです。

プラス転化してから考えましょう。 

 

 

★予想純利益

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※単位:千円 

※2015年~2018年の営業利益平均成長率:-46.95%

※「5年継続時」のPER等の算出が不可能だったので今回は省略

 

来期の会社予想は「損失の更なる拡大」です。

そして「売上高も減ります」と言っています。

どこかのタイミングでマイルストーン収入が入ってきたり、ロイヤリティが入ってきたりを期待するしかありません。 

 

 

 

 

★予想純利益に基づくPER

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※「株価=354円」で計算

※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定

※「成長率が3年間継続」は今後3年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定

 

もはやよくわからないことになっています。

というかあまり意味がない。

 

 

 

★成長率を加味した理論利回り

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※理論利回り(%)=1÷PER

 

さきほど「財務基盤の強さは今まで見てきた創薬ベンチャーの中でもおそらく最強」と言いましたが、理論利回り(というか理論損失)の幅も今まで見てきた創薬ベンチャーの中で最恐です。

とりあえずファンダメンタルズ派の人は手が出せない銘柄です。

 

 

まとめると、

 

・業績は清々しいまでに下降している

・財務基盤の強さは信じられないほど強い

・イケイケドンドンな経営スタイル

・理論利回り(損失)も信じられないほど高い

 

ということになります。

 

ここまでに同じビジネスモデルの創薬ベンチャーを見てきて気が付いたのが「押し並べてどの企業も新株予約権の発行とその行使によって資金調達しており、その結果自己資本が充実し、生き残れている。」ということでした。

実際にこの企業も新株予約権を発行と行使によって大量の資金を調達していました。

なんとなく「大学などの研究機関で予算があんまり出ないなら、資本市場で資金調達すればいいじゃないか」という企業側の思惑を感じました。

逆に言えば「今は資本市場からの資金調達が出来ているけど、何がしかの事由で出来なくなった時に、このままの業績ならば相当にマズいことになる」ということです。

そして個人的に思ったこの企業の特徴は「社長が投資銀行メリルリンチ)出身で、資金調達の方法に長けていそうなこと」です。