日本電産(銘柄コード:6594)の決算書
どうもこんにちは。決算書マンです。
先日業績予想の修正を提出した日本電産(銘柄コード:6594)を取り上げたいと思います。
「増収増益の永守神話、ついに途絶える?!」とかメディアでは報じられそうですが、そんなことは置いておいてとりあえず見てみましょう。
★売上高
※単位:百万円
売上高は順調に伸びています。
★営業利益
※単位:百万円
営業利益も順調に伸びています。
★純利益
※単位:百万円
純利益もまた然り。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:百万円
業績は順調に伸びているようです。
M&Aパワーおそるべし。
★在庫回転日数
※単位:日
在庫の回転はあまり変わっていないようです。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)
とりあえずビジネス自体はこれまでの巡航速度を保てているようです。
★流動比率
手元流動性は普通。
自己資本比率も普通。
財務基盤は普通です。
利益効率も年々良くなっているようです。
普通はM&Aとか繰り返すと利益効率は企業によってバラツキがあるのでムラになりやすいのですが、日本電産はそこを乗り越えています。
事業規模を拡大しながら利益効率も上げるという、にわかには信じがたい感じになっています。
★営業CF
※単位:百万円
営業CFも問題なし。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:百万円
「M&Aを実施して、買収した企業を立て直す」というのがこの企業のビジネスモデルなので、営業CFと比較すると投資CFはけっこうな額になっています。
★実質FCF
※単位:百万円
自由資金はちょろっと残っているようです。
★設備投資比率
さすがに製造業なので事業維持のための設備投資費はそれなりにかかるようです。
★予想純利益
※単位:百万円
※2014年~2018年の営業利益平均成長率:+18.48%
来期の会社予想は「減益」のようです。
ここからどうなってくるのか。
★予想純利益に基づくPER
※「株価=12,105円」で計算
※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定
※「成長率が3年間継続」は今後3年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定
※「成長率が5年間継続」は今後5年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定
※「利益を出し続けている限りは銀行や投資家はお金を貸し続けてくれる」という仮定のもと、借入金の返済義務分は株価のバリュエーションに組み込まないこととする
バリュエーション自体はそもそも安くなく、5年後に純利益が現状の2倍まで成長したとしても、いたって普通の水準です。
★成長率を加味した理論利回り
※理論利回り(%)=1÷PER
だいたい年率3~6%強のリターンを期待するのが現実的なのかな、と思います。
まとめると、
・ここまでの業績はすこぶる好調
・財務基盤は普通
・事業規模を拡大しながら利益効率も上昇させている
・投資にはけっこうなお金を毎年使っている
・設備投資費はそれなりにかかる
ということになります。
来期の減益の要因は「米中貿易摩擦による実際経済への深刻な影響、およびそれによる客先の需要減。」とのことです。
加えて「この機会に下期に構造改革費用240億円を計上します。」とアナウンスしているので、会社としては「増収増益記録が途絶えそうなのは、もう仕方がない。この際だから先回りして膿出ししておこう。」ということなのではないかと思います。