楽天(銘柄コード:4755)の決算書
どうもこんにちは。決算書マンです。
楽天(銘柄コード:4755)を取り上げたいと思います。
もはやただのECサイトではなく、アマゾンみたく「楽天経済圏」を作っていますが、その成果やいかに。
それでは見てみましょう。
★売上高
※単位:百万円
売上高は順調に伸びています。
★営業利益
※単位:百万円
営業利益はアップダウンしていますが、2018年には一気にジャンプしています。
★純利益
※単位:百万円
純利益もまた然り。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:百万円
売上先行の形ではありますが、業績は目下伸びているようです。
★在庫回転日数
★売上高&在庫回転日数
★流動比率
「在庫なし」なのと、楽天は銀行や証券などの金融業を行っているので、在庫回転日数と流動比率は記載しません。
自己資本比率はけっこう低いです。
金融を行っているので致し方ない。
ROAは安定していますがそもそもの水準が低く、そしてROEは自己資本比率から行くともうちょっと欲しいくらいです。
つまりは利益効率はそんなに良くない。
★営業CF
※単位:百万円
年度にも依りますが、概ね健全に稼いでいるようです。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:百万円
しかしけっこうな額を毎年投資に使っています。
かなりアグレッシブな経営スタイル。
★実質FCF
※単位:百万円
その結果自由資金はほとんど残せていません。
というかほとんどの年度でマイナス。
★設備投資比率
2014年は無視するとしても、そのあとの年でも設備投資だけでけっこうなお金を使っているようです。
商売の効率はあまり良くないようです。製造業並み。
★株価の推移
※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載
株価は右肩下がりになっています。
いったいどうした。
★純利益の推移+来期予想
※単位:百万円
※来期予想はコンセンサス予想の数値
来期予想は若干の増益予想です。
成長性という観点ではなんとも言えない。
★PERの推移
※来期予想のPERは、株価=835円で計算
※年度末決算発表時のPERを記載
直近5年間はPERが高止まりしていたことがわかります。
2018年に純利益がジャンプしてPERが一気に下がっていますが、それを含めても35倍は割と高め。
そして来期はもっと低いようです。
★株価とPERの推移
※左軸:株価 右軸:PER
※両方とも年度末決算時のものを記載
一般的なPERの考え方で行くと2014年のPER=55倍の時には空売りするのが正解で、その通りに株価が下がっています。
しかし同じように2018年を見るとPER=12倍ならば買うのが正解なのですが、現時点の株価は835円くらいなので、ここで買ったら少なくとも現時点では含み損を抱えた状態になっています。
★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移
※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=835円で計算
※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載
※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)
※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。
EV/EBITDA倍率で見ても来期予想の「割安に見える感」は変わりません。
というかEV/EBITDA倍率=14.75倍だからPERほどそこまで高止まりしているようには見えない。
★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移
※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載
株価とEV/EBITDA倍率の推移がなんとなく一致しているように見えます。
まとめると、
・業績は伸びている
・利益効率はあまり良くない
・かなりアグレッシブな経営スタイル
・毎年の設備投資費は製造業並みにかかる
・過去のバリュエーション指標と比較すると、現時点では割安に見える
ということになります。
個人的には「いっそのことアマゾンに買収されてしまえばよいのに」と思います。
EV/EBITDA倍率も8倍くらいですし。