3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

コマツ(銘柄コード:6301)の決算書

どうもこんにちは。決算書マンです。

コマツ(銘柄コード:6301)を取り上げたいと思います。

先日のキャタピラーの決算を受けて株価は下がっていましたが、実際はどうなっているのでしょうか? 

それでは見てみましょう。

 

 

★売上高

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※単位:百万円

 

2017年までほぼ横ばいが続いていますが、2018年に入り伸びています。

ジョイ・グローバル社買収の影響で伸びていると思われます。

 

 

★営業利益

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※単位:百万円

 

営業利益はむしろ2017年まではどちらかというと減少傾向でしたが、2018年に入ると回復しています。

ただ売上高ほどドラスティックに伸びていないように見えます。

 

 

★純利益

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※単位:百万円

純利益も営業利益と同じような推移。

 

 

 

★売上高&営業利益&純利益

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※単位:百万円

 

こう見ると2017年までは業績が下降していたように見えます。

ただしやっぱり2018年には回復しています。 

 

 

★在庫回転日数

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※単位:日

 

在庫の回転は徐々に速まっているように見えます。

 

 

★売上高&在庫回転日数

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※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)

 

売上高はアップダウンがありますが、徐々に在庫の回転を速く出来ているのは好ましい傾向です。

 

 

流動比率 

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手元流動性は普通。



 

自己資本比率 

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自己資本比率も普通。

財務基盤は普通です。 

 

 

 

ROEROA

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まあまあなROE&ROAです。

利益効率は普通で、ある程度水準の維持も出来ています。


 

 

★営業CF 

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※単位:百万円

 

純利益自体は回復したのですが、いかんせん営業CFはいまだに減少傾向が続いています。 

大丈夫か?

 

 

★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:百万円

 

投資にはそれなりにお金をかけているようです。

 

 

★実質FCF

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※単位:百万円

 

2018年のみけっこうなお金を使っていますが、例年は一定額の自由資金をコンスタントに残せているようです。

 

 

★設備投資比率

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まあまあ設備投資費はかかっています。

ここらへんは想定内。

 

 

★株価の推移

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※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載

 

株価は直近3年間でけっこう上昇したようです。

 

 

 

★純利益の推移+来期予想

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※単位:百万円

※来期予想は会社予想の数値 

 

来期予想は更なる増益らしいです。

キャタピラーの決算がこの来期予想をゆがめるかどうかに注目です。 

 

 

★PERの推移

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※来期予想のPERは、株価=2,698.50円で計算

※年度末決算発表時のPERを記載

 

PERの水準は割と安定しているように見えます。

これによると現時点のバリュエーションは割安に見えます。

 

 

★株価とPERの推移

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※左軸:株価 右軸:PER

※両方とも年度末決算時のものを記載

 

 概ね株価とPERの推移は一致しています。

 

 

★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移

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※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=2,698.50円で計算

※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載

※EV(企業価値)=時価総額+有利子負債ー現金同等物

※EBITDA(減価償却前営業利益)=営業利益+減価償却

※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)

※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。

 

PERよりもEV/EBITDA倍率の方が一定の数値を残しています。

そして来期予想の数値が正しいならばやっぱり現時点のバリュエーションは割安に見えます。 

 

 

★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移

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※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載 

 

こちらも株価とEV/EBITDA倍率の推移は概ね一致しています。
 

 

 

まとめると、

 

・2017年までは業績は下降傾向だったが、2018年に入り持ち直した

・在庫の回転は徐々に速くなっている

・財務基盤は普通

・利益効率も普通

・設備投資費も普通の製造業と同じくらいかかる

・現時点のバリュエーションは割安に見える

 

ということになります。

 

現時点では「キャタピラーの決算が悪かった→同業他社のコマツも決算が悪い可能性がある→他の投資家もそう思う可能性がある→株価が下がる可能性がある」という連想ゲームで株価が下がっているようです。

過去の四半期決算を見直せば「コマツは会社予想と実績値の乖離がどれだけあるのか=コマツは約束を守ってくれる企業なのかそうでないのか」がある程度わかると思うので、気になる方は見てみると良いのではと思います。

ちなみに私は「もっと時間をかけて調べる価値がある企業」があると思うので、深入りすることにはあまり気乗りしません。

概ねけっこう普通の企業ですし。