はてな(銘柄コード:3930)の決算書
どうもこんにちは。決算書マンです。
今回は当はてなブログの胴元である、はてな(銘柄コード:3930)を取り上げたいと思います。
上場当初は私は証券会社に在籍していたのですが、当時は「いまさらブログサービスの会社が上場できるのか?そして何だこのヘンテコな会社名は?」と思っていました。
それでは見てみましょう。
※期間は2015年~2018年の4年間となっています。
★売上高
※単位:千円
売上高は順調に伸びています。
ちなみに現時点では私はまだこの売上に貢献していません。
★営業利益
※単位:千円
2018年になって少し落ち込みましたが、それまでは概ね順調に伸びているようです。
★純利益
※単位:千円
純利益もまた然り。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:千円
業績は概ね順調に伸びていますが、利益水準の伸びが若干気になります。
★在庫回転日数
※単位:日
在庫回転日数はグングン速くなっています。
ていうか在庫あるのか。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(千円) 右軸:在庫回転日数(日)
売上の伸びと在庫回転日数の高速化がバッチリ合っています。
ビジネスは順調なようです。
★流動比率
手元流動性は充分にあるようです。
自己資本比率の水準はそもそも高く、そして年々高くなっています。
財務基盤は超強固。
どちらかと言うと利益効率は上昇傾向でしょうか。
いずれにせよ事業規模の拡大をしながらも利益効率の維持も出来ているようです。
★営業CF
※単位:千円
純利益は伸びていますが、営業CFはそこまでドラスティックな変化がないようです。
というか2018年の営業CFは2015年のそれより若干少ない。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:千円
投資CFは概ね一定額になっています。
というか営業CFと投資CFだけで見ると「この企業って本当に成長しているのか?」と疑いたくなります。
営業CFはあくまで「一年間で入ってきた現金額の合計」であり、純利益が成長のバロメーターなので成長はしていることに間違いはないですが。
★実質FCF
※単位:千円
そして自由資金はコンスタントに残せているようです。
多くても2億円弱しかないですが。
★設備投資比率
業態の括りとしてはいちおう「IT」とか「サービス」のはずなんですが、製造業並みの設備投資負担率になっています。
ちなみに多くは「無形固定資産の取得」なので、ソフトウェアなどに設備投資費を割いているものと思われます。
★予想純利益
※単位:千円
※2015年~2018年の営業利益平均成長率:+22.74%
そして予想純利益ですが、「利益成長の鈍化懸念」はあながち気のせいではなく、会社側も「ちょっとしか伸びそうにないです。」と言っています。
いちおう平均成長率を当てはめて5年後まで算出しますが、実際はもっと低い数値になる可能性が高いと思って見て頂ければと思います。
★予想純利益に基づくPER
※「株価=2,869円」で計算
※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定
※「成長率が3年間継続」は今後3年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定
※「成長率が5年間継続」は今後5年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定
※「利益を出し続けている限りは銀行や投資家はお金を貸し続けてくれる」という仮定のもと、借入金の返済義務分は株価のバリュエーションに組み込まないこととする
とりあえずPERはそこまで安くはなさそうです。
そして高成長が続いたとしてもそこまで安くはならなさそうです。
★成長率を加味した理論利回り
※理論利回り(%)=1÷PER
だいたい年率3~7%くらいのリターンを期待するのが現実的なようです。
ただ実際はもうちょっと低いかもしれない・・・。
まとめると、
・事業規模は順調に拡大している
・利益成長は鈍化している可能性が高い
・利益効率は維持出来ている
・財務基盤は超強固
・自由資金はコンスタントに残せている
・設備投資費は普通の製造業並みにかかるので、事業効率は普通
・年率3~7%弱のリターンを期待するのが現実的
ということになります。
この企業への投資を考える上で考慮するポイントは2つあると思っていて、それは「今後も成長していけるのか?」と「成長はしないにしても、今の水準の利益を維持出来るのか?」です。
ビジネスモデルとしてはニコニコ動画などと同じような「サブスクリプション収入+広告収入モデル」なので、有料会員数の維持と拡大が最重要事項になっていると思います。
キーポイントは「会員費を値上げしても、会員数はそこまで変わらないかどうか」だと思います。