3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

クックパッド(銘柄コード:2193)の決算書

どうもこんにちは。決算書マンです。

クックパッド(銘柄コード:2193)の決算書を見てみましょう。

なおこの会社は会社予想を出していないので、「会社予想と実績値」の項目は今回は省略します。

 

 

★売上高

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※単位:千円

 

売上高は2016年に入って急増しています。

おそらくM&Aの影響です。 

 

 

★営業利益

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※単位:千円

 

営業利益も2016年に入ってそれまでの約2倍に一気にジャンプしています。 

 

 

★純利益

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※単位:千円

純利益も同じような感じですが、2017年にガクンと数値を落としています。 

 

 

★売上高&営業利益&純利益

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※単位:千円

 

業績自体は2015年から見ると伸びていますが、M&Aの影響が大きいと思うので実質的な成長をしているかどうかは不明です。

 

 

★在庫回転日数

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※単位:日

 

なぞの在庫回転日数の推移をしています。

見たことない感じです。 

 

 

 

★売上高&在庫回転日数

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※左軸:売上高(千円) 右軸:在庫回転日数(日)

  

売上高との有意な関係性は見出せません。 

 

 

流動比率 

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手元流動性は抜群にあるようです。

というか2018年に入っていきなり増えています。

なんじゃこりゃ。 

 

 

自己資本比率 

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自己資本比率もめちゃくちゃに高いです。

どっかのバイオベンチャー並みに高いです。

クックパッドの場合はちゃんと利益を出しているので、M&A資金として上手く使えないのだったら株主還元を求められそうです。

それこそサード・ポイントとかに。 

 

 

 

ROEROA

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利益効率はなんとなくですが、低下傾向にあるように見えます。

ただROA=10%台は立派です。


 

 

★営業CF 

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※単位:千円

 

営業CFはしっかりと稼いでいるようです。

純利益が急落した2017年にも前年を上回る営業CFを稼いでいるのでここらへんはある程度安心。

 

 

 

★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:千円

 

投資額は年によってまちまちなようです。

 

 

★実質FCF

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※単位:千円

 

2014年のみマイナスですが、それ以降は自由資金を残せています。

やっぱり余り過ぎな気がします。

 

 

★設備投資比率

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設備投資費は全然かからないようです。

事業効率は良いのであとは投資でどれだけ上手くお金を使えるか。

 

 

 

★株価の推移

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※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載

 

株価は2015年をピークとしてダダ下がっています。

 

 

  

★純利益の推移+来期予想

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※単位:千円

※来期予想はコンセンサス予想の数値

 

来期予想は大幅減益です。理由は子会社に係る「のれんの減損」です。

ひらたく言えば「当初見込んでいた利益が出なさそうなので、その差額を損失として計上します。」ということです。

 

 

 

★PERの推移

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※来期予想のPERは、株価=314円で計算

※年度末決算発表時のPERを記載

 

PERは2018年まではズイブンと高止まりしていたようです。

そして来期予想のPERは平均よりもズイブンと低いです。 

 

 

 

★株価とPERの推移

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※左軸:株価 右軸:PER

※両方とも年度末決算時のものを記載

 

「来期予想のPERが平均よりも低い」と言っても2018年の時点で相当にPERが低かったので、その二の舞になる可能性も否定できません。

何とも悩ましい状態です。 

 

 

★EV/EBITDA倍率の推移

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※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=314円で計算

※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載

※EV(企業価値)=時価総額+有利子負債ー現金同等物

※EBITDA(減価償却前営業利益)=営業利益+減価償却

※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)

※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。

 

来期予想のEV/EBITDA倍率はPERよりもえげつないことになっています。

M&Aする側じゃなくてされる側のバリュエーションになっています。

 

 

 

★株価とEV/EBITDA倍率の推移

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※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載 

 

そしていわゆる「バリュートラップ」はEV/EBITDA倍率でも変わらず。 

業績如何にも依りますが、本当に悩ましい状態。

 

 

 

★営業利益 予想値と実績値の比較 

★純利益 予想値と実績値の比較

 

会社予想は毎回出していないので今回は省略します。 

 

 

 

まとめると、

 

・業績はM&Aによって伸びているように見える

・財務基盤は超強固(事業規模に対して大量の内部留保を抱え込んでいる)

・利益効率は下降傾向

・投資(というかM&A)の成否が会社の命運を分けそう

・そういう意味では国内のクックパッドの業績は頭打ちしている可能性が高い

・設備投資費が全然いらない超効率的な事業

・現在のバリュエーションは「超割安」に見えるが、一方でバリュートラップの可能性も否定出来ない

 

ということになります。

 

2018年の9月に「これまで配当を出そうかと思ってましたが、投資にお金を使いたいので配当は出しません」としているので、やっぱり投資に本腰を入れるようです。

個人的には日本市場での稼ぎがある程度一定に保てるのであれば、無理矢理に事業規模を拡大するよりは素直に株主還元を厚くしてくれれば良いのに、と思います。

少なくともそれでEV/EBITDA倍率のバリュートラップは解消されるんじゃないかと思います。