ブロードバンドタワー(銘柄コード:3776)の決算書
どうもこんにちは。決算書マンです。
今日はブロードバンドタワー(銘柄コード:3776)の決算書を見てみましょう。
★売上高
※単位:千円
2017年までは売上高が順調に伸びていましたが、2018年に入って謎の急落をしています。
★営業利益
※単位:千円
営業利益も2018年に急落していますが、それまでは売上高の伸びとは違いあまり伸びていなかったようです。
★純利益
※単位:千円
純利益はデコボコ過ぎてよくわからないことになっています。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:千円
事業規模の拡大を急いで利益が後回しになっているようです。
★在庫回転日数
※単位:日
在庫回転日数は2018年でもそれまでと変わりはないので、商売自体が上手くいかなくなっているという訳ではなさそうです。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(千円) 右軸:在庫回転日数(日)
特にコメントなし。
★流動比率
手元流動性は普通くらい。
自己資本比率も普通。
財務基盤は概して普通くらい。
純利益がデコボコなのでそれに従っています。
ただ直近5年間で一番良かった2017年でもその水準はかなり低めです。
利益効率は悪そうです。
★営業CF
※単位:千円
2017年までは純利益はマイナスの年でもそれを大幅に上回る営業CFを稼ぎ出していましたが、2018年にはついに営業CFさえもマイナス転化しています。
ちなみにこの企業は純利益に対して減価償却費がかなり多いです。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:千円
毎年けっこうな割合を投資に使っているようです。
★実質FCF
※単位:千円
なので自由資金はあったりなかったり。
★設備投資比率
2018年は無視するとしても、毎年の設備投資にけっこうなお金がかかるようです。
この観点からも事業の効率はやっぱり悪そうです。
★株価の推移
※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載
上がったり下がったりで、キレイにデコボコしています。
★純利益の推移+来期予想
※単位:千円
※来期予想は会社予想の数値
来期予想は黒字回復ですが、微々たる額。
★PERの推移
※来期予想のPERは、株価=301円で計算
※年度末決算発表時のPERを記載
PERに関しては全く一貫性がないです。
そして現時点の水準はめちゃくちゃ割高に見えます。
★株価とPERの推移
※左軸:株価 右軸:PER
※両方とも年度末決算時のものを記載
株価の変動幅に比べてPERの変動幅が大きいようです。
とりあえず何の参考にもならない。
★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移
※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=301円で計算
※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載
※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)
※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。
ガッタガタだったPERに対してEV/EBITDA倍率は割と安定していて一貫性があるように見えます。
その分現時点のバリュエーションはやっぱりかなりの割高に見えます。
ただし2018年のEV/EBITDA倍率は直近5年間でもかなり高い水準にありましたが、その後の株価は現時点でその時の約1.5倍になっているので、なんとも言えない感じもします。
★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移
※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載
2018年に株価とEV/EBITDA倍率がクロスしてしまっているのは株価の下落に比べてEBITDAが大きく減少したからです。
まとめると、
・業績は2017年までは順調に伸びていたが、2018年に入って急ブレーキがかかっている
・おそらく売上拡大路線を歩んだため、本業での利益はさほど伸びていない
・売上は急減少したが、商売自体は変わらず回っている
・財務基盤は普通
・利益効率は悪い
・毎年けっこう投資にお金を使っている
・事業効率は悪い
・今のバリュエーションは割高に見える
ということになります。
EV/EBITDA倍率の推移を考えるとあんまり買いたくない企業です。
楽天(銘柄コード:4755)の決算書
どうもこんにちは。決算書マンです。
楽天(銘柄コード:4755)を取り上げたいと思います。
もはやただのECサイトではなく、アマゾンみたく「楽天経済圏」を作っていますが、その成果やいかに。
それでは見てみましょう。
★売上高
※単位:百万円
売上高は順調に伸びています。
★営業利益
※単位:百万円
営業利益はアップダウンしていますが、2018年には一気にジャンプしています。
★純利益
※単位:百万円
純利益もまた然り。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:百万円
売上先行の形ではありますが、業績は目下伸びているようです。
★在庫回転日数
★売上高&在庫回転日数
★流動比率
「在庫なし」なのと、楽天は銀行や証券などの金融業を行っているので、在庫回転日数と流動比率は記載しません。
自己資本比率はけっこう低いです。
金融を行っているので致し方ない。
ROAは安定していますがそもそもの水準が低く、そしてROEは自己資本比率から行くともうちょっと欲しいくらいです。
つまりは利益効率はそんなに良くない。
★営業CF
※単位:百万円
年度にも依りますが、概ね健全に稼いでいるようです。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:百万円
しかしけっこうな額を毎年投資に使っています。
かなりアグレッシブな経営スタイル。
★実質FCF
※単位:百万円
その結果自由資金はほとんど残せていません。
というかほとんどの年度でマイナス。
★設備投資比率
2014年は無視するとしても、そのあとの年でも設備投資だけでけっこうなお金を使っているようです。
商売の効率はあまり良くないようです。製造業並み。
★株価の推移
※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載
株価は右肩下がりになっています。
いったいどうした。
★純利益の推移+来期予想
※単位:百万円
※来期予想はコンセンサス予想の数値
来期予想は若干の増益予想です。
成長性という観点ではなんとも言えない。
★PERの推移
※来期予想のPERは、株価=835円で計算
※年度末決算発表時のPERを記載
直近5年間はPERが高止まりしていたことがわかります。
2018年に純利益がジャンプしてPERが一気に下がっていますが、それを含めても35倍は割と高め。
そして来期はもっと低いようです。
★株価とPERの推移
※左軸:株価 右軸:PER
※両方とも年度末決算時のものを記載
一般的なPERの考え方で行くと2014年のPER=55倍の時には空売りするのが正解で、その通りに株価が下がっています。
しかし同じように2018年を見るとPER=12倍ならば買うのが正解なのですが、現時点の株価は835円くらいなので、ここで買ったら少なくとも現時点では含み損を抱えた状態になっています。
★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移
※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=835円で計算
※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載
※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)
※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。
EV/EBITDA倍率で見ても来期予想の「割安に見える感」は変わりません。
というかEV/EBITDA倍率=14.75倍だからPERほどそこまで高止まりしているようには見えない。
★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移
※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載
株価とEV/EBITDA倍率の推移がなんとなく一致しているように見えます。
まとめると、
・業績は伸びている
・利益効率はあまり良くない
・かなりアグレッシブな経営スタイル
・毎年の設備投資費は製造業並みにかかる
・過去のバリュエーション指標と比較すると、現時点では割安に見える
ということになります。
個人的には「いっそのことアマゾンに買収されてしまえばよいのに」と思います。
EV/EBITDA倍率も8倍くらいですし。
任天堂(銘柄コード:7974)の決算書
どうもこんにちは。決算書マンです。
「ジェットコースター銘柄の代名詞」とも言える任天堂(銘柄コード:7974)を取り上げたいと思います。
それでは見てみましょう。
★売上高
※単位:百万円
2017年までは徐々に売上が減少していましたが、2018年になると一気にそれまでの約2倍に伸びています。
★営業利益
※単位:百万円
営業利益の増え方は売上高以上です。
★純利益
※単位:百万円
純利益も増えてはいますが、2017年→2018年のジャンプアップはなく、2017年時点で既にジャンプアップしています。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:百万円
一貫性はありません。
★在庫回転日数
※単位:日
そして在庫回転日数は直近5年で劇的に速まっています。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)
2014年~2017年にかけては売上の減少と在庫回転日数の速まりが一致していますが、2018年には在庫回転日数はそのままに売上だけを急激に伸ばすことに成功しています。
何がどうなったらこんなになるんだ。
★流動比率
手元流動性は潤沢なようです。
自己資本比率も非常に高いです。
どっかのバイオベンチャー並みに高い。
お金を貯め込みまくっているようです。
純利益の進捗に合わせて伸びています。
一貫性はありません。
★営業CF
※単位:百万円
営業CFがデコボコ過ぎます。
2017年にいたっては純利益よりも圧倒的に営業CFが少ないですが、2018年には正常になっています。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:百万円
全然投資にお金を使っていないようです。
★実質FCF
※単位:百万円
投資に全然お金を使ってはいませんが、各年で自由資金にバラツキはあります。
★設備投資比率
一定額の設備投資費は必要なようですが、普通に営業CFを稼げているときは、設備投資費に全然お金がかからないようです。
そういう意味では「営業CFがマトモに稼ぎ出せる状態であるならば」という条件付きで、効率が良い事業のようです。
★株価の推移
※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載
概して右肩上がりなようです。
★純利益の推移+来期予想
※単位:百万円
※来期予想は会社予想の数値
来期予想は増益のようです。
けっこうわかりやすい右肩上がり。
★PERの推移
※来期予想のPERは、株価=32,980円で計算
※年度末決算発表時のPERを記載
2014年と2016年はヘンなことになっていますが、それを含めても基本的に任天堂のPERはけっこう高水準を推移しているようです。
こう見ると来期予想のPERはだいぶ低く見えます。
★株価とPERの推移
※左軸:株価 右軸:PER
※両方とも年度末決算時のものを記載
株価は上がっているけど、PERは同じようなところを行ったり来たり。
2017年と2018年の推移なんかを見ると割とわかりやすいんじゃないかと思います。
というか2015年にPERが67倍くらいでしたが、2018年には株価が2倍になっています。
★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移
※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=32,980円で計算
※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載
※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)
※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。
なんとも言い難い感じです。
そしてEV/EBITDA倍率で見ると今の水準はPERよりも安く見える。
★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移
※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載
いずれにせよEV/EBITDA倍率も高水準で推移しています。
まとめると、
・業績はここ1年で急伸している
・在庫回転日数も劇的に速くなっている
・財務基盤は強固
・PERとEV/EBITDA倍率は常に高水準で推移している
ということになります。
一つのヒット商品があるかないかで業績と株価がぐわんぐわん揺れ動くので、個人的には「投資対象として」のゲーム企業は好きじゃありません。
ただPERは一般的な割安・割高モデルでは説明出来ないようです。
ラクオリア創薬(銘柄コード:4579)の決算書
どうもこんにちは。決算書マンです。
去年から株価が派手にジェットコースターしているラクオリア創薬(銘柄コード:4579)を取り上げたいと思います。
それでは見てみましょう。
★売上高
※単位:千円
ここ2年間で売上高は急激に伸びています。
★営業利益
※単位:千円
営業利益もここ2年間で急激に赤字幅が縮小しています。
★純利益
※単位:千円
対して純利益は割とデコボコ
★売上高&営業利益&純利益
※単位:千円
なんとなくですが、傾向としては業績が良くなってきているようです。
★在庫回転日数
※単位:日
なんじゃこりゃ。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(千円) 右軸:在庫回転日数(日)
売上高の伸びと在庫回転日数の速まり方が一致しているように見えます。
実際はあまり関係なさそうだけど。
★流動比率
例のごとく、手元流動性は抜群。
自己資本比率は段々高まっています。
財務基盤はめちゃくちゃに強い。
純利益に準じています。
★営業CF
※単位:千円
やはり営業CFもマイナスですが、ここ2年間でマイナス幅が大幅に縮小しています。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:千円
営業CFのマイナスなどなんのその。
カンケーなく投資はしています。
「資金調達できるから問題ない」と言っているかのようです。
★実質FCF
※単位:千円
当然の結果となっています。
★設備投資比率
全然参考になりません。
★株価の推移
※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載
2017年→2018年にかけてとんでもない株価の上がり方をしています。
黒字化が見えてきたからか。
★純利益の推移+来期予想
※単位:千円
※来期予想は会社予想の数値
来期予想で純利益の赤字幅は更に縮まっています。
けどまだ黒字化は果たせず。
★PERの推移
※来期予想のPERは、株価=1,377円で計算
※年度末決算発表時のPERを記載
2017年まではまだ一貫性があるように見えますが、その後はもうよくわからないことになっています。
★株価とPERの推移
※左軸:株価 右軸:PER
※両方とも年度末決算時のものを記載
あまり意味がない・・・。
★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移
※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=1,377円で計算
※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載
※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)
※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。
来期でようやくEV/EBITDA倍率がプラス圏に浮上する予定となっています。
ここからが正念場で、今後の業績のチェックは欠かせません。
ただし、今回に関してはまだPERの方が一貫性があるように見えます。
そもそもどちらも一貫性があるように見えない、という問題はありますが。
★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移
※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載
もはや見ても意味がない。
まとめると、
・業績はここ2年間で急激に伸びている
・赤字幅も急激に縮小し、黒字化しそうになっている
・財務基盤はめちゃくちゃ強い
・PERとEV/EBITDA倍率に一貫性はなく、今後の推移を見守る必要あり
ということになります。
とりあえずEV/EBITDA倍率が安定してプラス圏で推移して、なおかつその数値が信用に足るものであれば投資判断を下せそうですが、現状ではどう判断すればいいか全く不明です。
ジャパンディスプレイ(銘柄コード:6740)の決算書
どうもこんにちは。決算書マンです。
ジャパンディスプレイ(銘柄コード:6740)を取り上げたいと思います。
投資家の期待を裏切りに裏切り続けていることで有名なこの企業ですが、実態はどうなっているのでしょうか?
それでは見てみましょう。
★売上高
※単位:百万円
2016年をピークに少しずつ減少しています。
★営業利益
※単位:百万円
営業利益にいたっては2014年がピークとなり、その後は踏みとどまっているものの、2018年には崩壊しています。
★純利益
※単位:百万円
純利益はもっとわかりやすく衰退傾向です。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:百万円
業績はどこからどう見ても悪くなっているようです。
★在庫回転日数
※単位:日
2018年に在庫の回転は多少速くなっていますが、そこまで大した変化はないようです。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)
なんとなくですが、売上と在庫回転日数がリンクしているように見えます。
★流動比率
そして下がり続ける流動比率。
あからさまにマズい状況です。
自己資本比率も年々低くなっています。
財務基盤は2014年では普通くらいだったのに、年々弱くなっていき、今ではものすごく脆弱になっています。
純利益の推移に従って推移しています。
★営業CF
※単位:百万円
2017年までは純利益が赤字でも営業CFは大幅な黒字をキープ出来ていましたが、2018年にはついに営業CFまでもマイナス転化しています。
状況はかなりマズそう。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:百万円
毎年けっこうなお金を使っているようです。
さすがに2018年は少し抑制していますが。
★実質FCF
※単位:百万円
もちろん自由資金はありません。
★設備投資比率
積極投資ならいざ知らず、毎年の事業維持のための設備投資費が営業CF以上にかかるのは異常です。
効率が悪い、とかではなく、もはや商売として構造的な欠陥があるレベル。
★株価の推移
※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載
見事に株価は右肩下がりです。
★純利益の推移+来期予想
※単位:百万円
※来期予想はコンセンサス予想の数値
コンセンサス予想では黒字転換で、会社側も「黒字転換に向けて努力します」と言っていますが、どれほどの信憑性があるのはどうかは不明です。
過去のガイダンスと実績とを調べてみる必要がありそうです。
★PERの推移
※来期予想のPERは、株価=90円で計算
※年度末決算発表時のPERを記載
この数字を信じるのであれば、90円となった今でも割高ということになりますが、そもそも一貫性がないのでこの数字には意味がない気はします。
★株価とPERの推移
※左軸:株価 右軸:PER
※両方とも年度末決算時のものを記載
変動幅が大き過ぎるのと、そもそもマイナスなのであまり意味はないと思います。
★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移
※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=90円で計算
※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載
※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)
※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。
EV/EBITDA倍率ですが、こちらの方がまだ一貫性があるように見えます。
そして来期予想が正しい&EV/EBITDA倍率の水準が一定ならば、今の株価は割安ということになります。
★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移
※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載
さきほど「見方によっては割安なのかもしれない」と言いましたが、注意が必要なのは「過去にそれで上手くいっていないこと」です。
2016年~2017年にかけてもEV/EBITDA倍率は相当に低かったですが、株価は2018年にかけてさらに下がっています。
理由は2017年までは黒字だった営業利益が2018年のガイダンスに時点で既に赤字転落予想だったから&実際に赤字だったからです。
まとめると、
・業績は衰退傾向が見られる
・財務基盤は非常に脆弱で、崩壊寸前
・CF計算書も全体的に厳しい感じ
・商売の効率は非常に悪い
・PERで見たときとEV/EBITDA倍率で見たときでは今の株価の水準がだいぶ違って見える。
ということになります。
予想以上にヤバめの決算書でびっくりしました。
特に設備投資比率に関しては「そもそも商売のやり方とか何かが根本的におかしいんじゃないか?」と感じたほどです。
転換社債で資金調達が出来ているのが唯一の救いですが、それが今のところの生命線となっているので、業績を一刻も早く回復させないと本当にマズいと思います。
アマゾン(ティッカー:AMZN)の決算書 2019/1/23 リライト版
どうもこんにちは。決算書マンです。
改めてアマゾン(ティッカー:AMZN)を取り上げたいと思います。
前回のソフトバンク・グループ(9984)で記載したEV/EBITDA倍率が個人的にしっくり来たので、今後も継続的にやっていこうかと思っています。
そして気が付いたら3分で読めるのかどうかは怪しくなっています・・・。
それでは見てみましょう。
★売上高
※単位:百万ドル
売上高は順調に伸びています。
★営業利益
※単位:百万ドル
営業利益はデコボコしています。
★純利益
※単位:百万ドル
純利益もデコボコしています。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:百万ドル
事業規模は順調に拡大しているようです。
★在庫回転日数
※単位:日
在庫の回転は少し速くなっているようですが、そこまでの変化はありません。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(百万ドル) 右軸:在庫回転日数(日)
売上が伸びて在庫の回転は微弱ながら速くなっているので、商売は好調だと言えます。
★流動比率
手元流動性はギリギリ。
自己資本比率も低め。
財務基盤は弱めなようです。
利益効率はどちらかと言うと良くなっているようです。
安定はしていませんが。
★営業CF
※単位:百万ドル
純利益をはるかに上回る営業CFを毎年コンスタントに稼ぎ出していることがわかります。
主な理由は多額の減価償却費と現金の支払いサイクルの違いです。
多くの企業の決算書は「貸借対照表→損益計算書→CF計算書」の順番で記載されるのですが、この企業は「多額の営業CFを安定して稼いでいること」を主張したいのか、「CF計算書→損益計算書→貸借対照表」の順番で記載しています。
なんとなく売上高の推移と似ている気がする。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:百万ドル
投資には毎年けっこうなお金を使っているようです。
減価償却費が多くなる理由です。
★実質FCF
※単位:百万ドル
自由資金はあったりなかったり。
★設備投資比率
なんやかんやで設備投資費はけっこうかかるようです。
効率は良くはない。むしろ悪い方です。
★株価の推移
※単位:ドル
※年度末決算発表時の株価を記載
株価はここ数年で急激に伸びています。
なんとなく売上高の推移と似ている気がする。
★純利益の推移+来期予想
※単位:百万ドル
※来期業績予想はコンセンサス予想の数値
なんだかよくわかりませんが、大幅な増益予想がされています。
現在第三四半期までの業績が発表されていますが、9か月間で既に「7,046百万ドル」の純利益を稼ぎ出しているので、あながち間違いでもない気がします。
★PERの推移
※来期予想のPERは、株価=1,632.17ドルで計算
※年度末決算発表時のPERを記載
純利益がデコボコなだけあって、PERもデコボコしていて一貫性がないです。
従って平均値はあまり参考になりません。
★株価とPERの推移
※左軸:株価 右軸:PER
※両方とも年度末決算時のものを記載
2014年と2015年のPERと株価を比較すると、一般的に言われているPERの考え方がアマゾンには全く通用していないことがわかります。
そして2016年時点でPER=492.45倍だったのが翌年には174.50倍にまで下がっています。
なんじゃこりゃ。
★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移
※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=1,632.17ドルで計算
※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載
※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)
※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。
PERだとデコボコで水準に安定性も一貫性もありませんでしたが、EV/EBITDA倍率で見るとその水準はけっこう安定していることがわかります。
そして来期予想の数値が正しければ、現在の株価の水準は「どちらかと言えば安い」ということになっています。
★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移
※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載
株価の上がり方に対して、EV/EBITDA倍率は同じようなレンジを推移していることがわかります。
というか一度もEV/EBITDA倍率=8~10倍にタッチしていませんが、現実問題として株価はその間でも上がり続けているようです。
まとめると、
・事業規模は順調に拡大している
・利益はデコボコ
・利益効率はどちらかと言えば良くなっている
・財務基盤は弱め
・利益はデコボコだったが、営業CFは安定して稼いでいる
・投資にはけっこう積極的
・毎年の設備投資費も割とかかる
・一般的なPERの概念は通用していない
・EV/EBITDA倍率は一貫して「割高」で安定しているが、それでも株価は上がっていた(不況時のデータを調べる必要がある)
ということになります。
やっぱり今のところ、PERよりもEV/EBITDA倍率の方がしっくり来ています。
「アマゾンが純利益と営業CFの差が大きいから」という理由もありそうですが。
いずれにせよPERだと81倍くらいあって、EV/EBITDA倍率だと34倍くらいあるので見た目は「超割高」なのですが、実際はどうなっていくのかは今後の推移を見守っていく必要がありそうです。
ソフトバンク・グループ(銘柄コード:9984)の決算書
どうもこんにちは。決算書マンです。
ソフトバンク・グループ(銘柄コード:9984)を取り上げたいと思います。
以前にソフトバンク・グループ(9984)とソフトバンク(9434)を合わせた記事を書きましたが、「さすがに無理がある」となったのと、ソフトバンク・グループ(9984)の来期業績のコンセンサス予想が見つかったので、リライト気味に書いてみることにしました。
それでは見てみましょう。
★売上高
※単位:百万円
2016年まではトントン拍子で伸びていましたが、その後は横ばいのようです。
★営業利益
※単位:百万円
営業利益にいたっては2017年までほぼ横ばいで、2018年に入ってようやく伸びた感じになっています。
★純利益
※単位:百万円
純利益はデコボコです。
色んなところに投資したりしてるので本業以外の要因が多分に含まれている模様。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:百万円
全体的には業績は横ばいに見えます。
★在庫回転日数
※単位:日
2014年→2015年にかけて1週間遅くなっていますが、その後はほぼ変わらないようです。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)
売上の伸びと在庫の回転がほぼ一致しているように見えます。
つまりは巡航速度で営業しているようです。
★流動比率
流動性は普通。というかギリギリ。
自己資本比率はかなり低めです。
財務基盤は概して弱め。
2017年に急上昇しましたが、翌年には2014年の水準に戻っています。
利益効率も横ばい。
★営業CF
※単位:百万円
営業CFは純利益よりも安定して多いようです。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:百万円
割と派手にお金を使っています。
孫社長の事業欲の強さを象徴しているかのようです。
★実質FCF
※単位:百万円
自由資金はもちろんありません。
だからこそ毎年社債を発行しまくって資金調達をしているのでしょう。
★設備投資比率
企業買収を除いても、事業維持のための設備投資費は毎年けっこうかかっているようです。
下手な製造業よりもお金がかかっています。
商売の効率はかなり悪そう。
★株価の推移
※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載
若干のアップダウンをしています。
★純利益の推移+来期予想
※単位:百万円
※来期予想はコンセンサス予想の数値
来期は減益予想です。
会社発表のものではないので何とも言えないところはありますが、概ね横ばいのようです。
ちなみに営業利益は増益予想でした。
★PERの推移
※来期予想のPERは、株価=7,911円で計算
※年度末決算発表時のPERを記載
PERは2014年~2016年の水準と、2017年~2018年の水準とでは割と差があるように見えます。
いちおう5年間平均のPERだと11.47倍となり、来期予想純利益をベースにして計算した現在のPERはその平均を少し下回る形となっています。
★株価とPERの推移
※左軸:株価 右軸:PER
※両方とも年度末決算時のものを記載
2017年から株価は高くなっていますが、逆にPERの水準は落ちていることがわかります。
★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移
※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=7,911円で計算
※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載
※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)
※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。
純利益を元にしたPERだとその水準に変動がありましたが、M&Aの世界で使われる指標のEV/EBITDA倍率で見ると概ね水準が安定しているようです。
いずれにせよ来期予想の数値があながち間違っていないとするならば現在の水準は少し割安に見えます。
★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移
※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載
株価とPERとを比較すると両指標はデコボコにクロスしていましたが、株価とEV/EBITDA倍率とを比較すると、両指標の推移は概ね一致しています。
まとめると、
・近年の業績は横ばい傾向
・利益効率も変わっていない
・財務基盤は弱め
・かなりの積極経営
・毎年の設備投資費はかなりかかるので、商売の効率は良くない、というか悪い
・現在のPERの水準は直近5年平均より少し低い
・現在のEV/EBITDA倍率の水準も直近5年平均より少し低い(そして安定している)
ということになります。
コンセンサス予想が何を根拠にして算出しているのかはよくわかりませんが、いずれにせよ過去のPERやEV/EBITDA倍率の水準からすると、現在の株価は「どちらかと言うと安い」ということになっています。
ただEV/EBITDA倍率は直近5年間で安定していたのでまだ良いですが、PERは水準自体が変わっている可能性があるので注意が必要だとは思います。