3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

ジャパンディスプレイ(銘柄コード:6740)の決算書

どうもこんにちは。決算書マンです。

ジャパンディスプレイ(銘柄コード:6740)を取り上げたいと思います。

投資家の期待を裏切りに裏切り続けていることで有名なこの企業ですが、実態はどうなっているのでしょうか? 

それでは見てみましょう。

 

 

★売上高

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※単位:百万円

 

2016年をピークに少しずつ減少しています。

 

 

★営業利益

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※単位:百万円

 

営業利益にいたっては2014年がピークとなり、その後は踏みとどまっているものの、2018年には崩壊しています。

 

 

★純利益

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※単位:百万円

純利益はもっとわかりやすく衰退傾向です。

 

 

★売上高&営業利益&純利益

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※単位:百万円

 

業績はどこからどう見ても悪くなっているようです。

 

 

 

★在庫回転日数

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※単位:日

 

2018年に在庫の回転は多少速くなっていますが、そこまで大した変化はないようです。

 

 

★売上高&在庫回転日数

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※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)

 

なんとなくですが、売上と在庫回転日数がリンクしているように見えます。 

 

 

流動比率 

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そして下がり続ける流動比率

あからさまにマズい状況です。



 

自己資本比率 

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自己資本比率も年々低くなっています。

財務基盤は2014年では普通くらいだったのに、年々弱くなっていき、今ではものすごく脆弱になっています。

 

 

 

ROEROA

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純利益の推移に従って推移しています。


 

 

★営業CF 

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※単位:百万円

 

2017年までは純利益が赤字でも営業CFは大幅な黒字をキープ出来ていましたが、2018年にはついに営業CFまでもマイナス転化しています。

状況はかなりマズそう。 

 

 

 

★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:百万円

 

毎年けっこうなお金を使っているようです。

さすがに2018年は少し抑制していますが。

 

 

 

★実質FCF

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※単位:百万円

 

もちろん自由資金はありません。 

 

 

 

★設備投資比率

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積極投資ならいざ知らず、毎年の事業維持のための設備投資費が営業CF以上にかかるのは異常です。

効率が悪い、とかではなく、もはや商売として構造的な欠陥があるレベル。

 

 

 

★株価の推移

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※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載

 

見事に株価は右肩下がりです。

 

 

 

★純利益の推移+来期予想

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※単位:百万円

※来期予想はコンセンサス予想の数値

 

コンセンサス予想では黒字転換で、会社側も「黒字転換に向けて努力します」と言っていますが、どれほどの信憑性があるのはどうかは不明です。

過去のガイダンスと実績とを調べてみる必要がありそうです。 

 

 

 

★PERの推移

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※来期予想のPERは、株価=90円で計算

※年度末決算発表時のPERを記載

 

この数字を信じるのであれば、90円となった今でも割高ということになりますが、そもそも一貫性がないのでこの数字には意味がない気はします。 

 

 

★株価とPERの推移

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※左軸:株価 右軸:PER

※両方とも年度末決算時のものを記載

 

変動幅が大き過ぎるのと、そもそもマイナスなのであまり意味はないと思います。

 

 

★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移

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※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=90円で計算

※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載

※EV(企業価値)=時価総額+有利子負債ー現金同等物

※EBITDA(減価償却前営業利益)=営業利益+減価償却

※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)

※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。

 

EV/EBITDA倍率ですが、こちらの方がまだ一貫性があるように見えます。

そして来期予想が正しい&EV/EBITDA倍率の水準が一定ならば、今の株価は割安ということになります。

 

 

 

★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移

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※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載 

 

さきほど「見方によっては割安なのかもしれない」と言いましたが、注意が必要なのは「過去にそれで上手くいっていないこと」です。

2016年~2017年にかけてもEV/EBITDA倍率は相当に低かったですが、株価は2018年にかけてさらに下がっています。
理由は2017年までは黒字だった営業利益が2018年のガイダンスに時点で既に赤字転落予想だったから&実際に赤字だったからです。

 

 

 

まとめると、

 

・業績は衰退傾向が見られる

・財務基盤は非常に脆弱で、崩壊寸前

・CF計算書も全体的に厳しい感じ

・商売の効率は非常に悪い

・PERで見たときとEV/EBITDA倍率で見たときでは今の株価の水準がだいぶ違って見える。

 

ということになります。

 

予想以上にヤバめの決算書でびっくりしました。

特に設備投資比率に関しては「そもそも商売のやり方とか何かが根本的におかしいんじゃないか?」と感じたほどです。 

転換社債で資金調達が出来ているのが唯一の救いですが、それが今のところの生命線となっているので、業績を一刻も早く回復させないと本当にマズいと思います。