アマゾン(ティッカー:AMZN)の決算書 2019/1/23 リライト版
どうもこんにちは。決算書マンです。
改めてアマゾン(ティッカー:AMZN)を取り上げたいと思います。
前回のソフトバンク・グループ(9984)で記載したEV/EBITDA倍率が個人的にしっくり来たので、今後も継続的にやっていこうかと思っています。
そして気が付いたら3分で読めるのかどうかは怪しくなっています・・・。
それでは見てみましょう。
★売上高
※単位:百万ドル
売上高は順調に伸びています。
★営業利益
※単位:百万ドル
営業利益はデコボコしています。
★純利益
※単位:百万ドル
純利益もデコボコしています。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:百万ドル
事業規模は順調に拡大しているようです。
★在庫回転日数
※単位:日
在庫の回転は少し速くなっているようですが、そこまでの変化はありません。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(百万ドル) 右軸:在庫回転日数(日)
売上が伸びて在庫の回転は微弱ながら速くなっているので、商売は好調だと言えます。
★流動比率
手元流動性はギリギリ。
自己資本比率も低め。
財務基盤は弱めなようです。
利益効率はどちらかと言うと良くなっているようです。
安定はしていませんが。
★営業CF
※単位:百万ドル
純利益をはるかに上回る営業CFを毎年コンスタントに稼ぎ出していることがわかります。
主な理由は多額の減価償却費と現金の支払いサイクルの違いです。
多くの企業の決算書は「貸借対照表→損益計算書→CF計算書」の順番で記載されるのですが、この企業は「多額の営業CFを安定して稼いでいること」を主張したいのか、「CF計算書→損益計算書→貸借対照表」の順番で記載しています。
なんとなく売上高の推移と似ている気がする。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:百万ドル
投資には毎年けっこうなお金を使っているようです。
減価償却費が多くなる理由です。
★実質FCF
※単位:百万ドル
自由資金はあったりなかったり。
★設備投資比率
なんやかんやで設備投資費はけっこうかかるようです。
効率は良くはない。むしろ悪い方です。
★株価の推移
※単位:ドル
※年度末決算発表時の株価を記載
株価はここ数年で急激に伸びています。
なんとなく売上高の推移と似ている気がする。
★純利益の推移+来期予想
※単位:百万ドル
※来期業績予想はコンセンサス予想の数値
なんだかよくわかりませんが、大幅な増益予想がされています。
現在第三四半期までの業績が発表されていますが、9か月間で既に「7,046百万ドル」の純利益を稼ぎ出しているので、あながち間違いでもない気がします。
★PERの推移
※来期予想のPERは、株価=1,632.17ドルで計算
※年度末決算発表時のPERを記載
純利益がデコボコなだけあって、PERもデコボコしていて一貫性がないです。
従って平均値はあまり参考になりません。
★株価とPERの推移
※左軸:株価 右軸:PER
※両方とも年度末決算時のものを記載
2014年と2015年のPERと株価を比較すると、一般的に言われているPERの考え方がアマゾンには全く通用していないことがわかります。
そして2016年時点でPER=492.45倍だったのが翌年には174.50倍にまで下がっています。
なんじゃこりゃ。
★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移
※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=1,632.17ドルで計算
※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載
※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)
※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。
PERだとデコボコで水準に安定性も一貫性もありませんでしたが、EV/EBITDA倍率で見るとその水準はけっこう安定していることがわかります。
そして来期予想の数値が正しければ、現在の株価の水準は「どちらかと言えば安い」ということになっています。
★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移
※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載
株価の上がり方に対して、EV/EBITDA倍率は同じようなレンジを推移していることがわかります。
というか一度もEV/EBITDA倍率=8~10倍にタッチしていませんが、現実問題として株価はその間でも上がり続けているようです。
まとめると、
・事業規模は順調に拡大している
・利益はデコボコ
・利益効率はどちらかと言えば良くなっている
・財務基盤は弱め
・利益はデコボコだったが、営業CFは安定して稼いでいる
・投資にはけっこう積極的
・毎年の設備投資費も割とかかる
・一般的なPERの概念は通用していない
・EV/EBITDA倍率は一貫して「割高」で安定しているが、それでも株価は上がっていた(不況時のデータを調べる必要がある)
ということになります。
やっぱり今のところ、PERよりもEV/EBITDA倍率の方がしっくり来ています。
「アマゾンが純利益と営業CFの差が大きいから」という理由もありそうですが。
いずれにせよPERだと81倍くらいあって、EV/EBITDA倍率だと34倍くらいあるので見た目は「超割高」なのですが、実際はどうなっていくのかは今後の推移を見守っていく必要がありそうです。