3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

ソフトバンク・グループ(銘柄コード:9984)の決算書

どうもこんにちは。決算書マンです。

ソフトバンク・グループ(銘柄コード:9984)を取り上げたいと思います。

以前にソフトバンク・グループ(9984)とソフトバンク(9434)を合わせた記事を書きましたが、「さすがに無理がある」となったのと、ソフトバンク・グループ(9984)の来期業績のコンセンサス予想が見つかったので、リライト気味に書いてみることにしました。

それでは見てみましょう。

 

 

★売上高

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※単位:百万円

 

2016年まではトントン拍子で伸びていましたが、その後は横ばいのようです。

 

 

 

★営業利益

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※単位:百万円

 

営業利益にいたっては2017年までほぼ横ばいで、2018年に入ってようやく伸びた感じになっています。

 

 

 

★純利益

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※単位:百万円

純利益はデコボコです。

色んなところに投資したりしてるので本業以外の要因が多分に含まれている模様。

 

 

 

★売上高&営業利益&純利益

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※単位:百万円

 

全体的には業績は横ばいに見えます。

 

 

 

★在庫回転日数

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※単位:日

 

2014年→2015年にかけて1週間遅くなっていますが、その後はほぼ変わらないようです。

 

 

★売上高&在庫回転日数

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※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)

 

売上の伸びと在庫の回転がほぼ一致しているように見えます。

つまりは巡航速度で営業しているようです。

 

 

 

流動比率 

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流動性は普通。というかギリギリ。

 

 

 

自己資本比率 

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自己資本比率はかなり低めです。

財務基盤は概して弱め。

 

 

 

ROEROA

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2017年に急上昇しましたが、翌年には2014年の水準に戻っています。

利益効率も横ばい。

 

 

 

 

★営業CF 

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※単位:百万円

 

営業CFは純利益よりも安定して多いようです。

 

 

 

★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:百万円

 

割と派手にお金を使っています。

孫社長の事業欲の強さを象徴しているかのようです。

 

 

 

★実質FCF

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※単位:百万円

 

自由資金はもちろんありません。

だからこそ毎年社債を発行しまくって資金調達をしているのでしょう。

 

 

 

★設備投資比率

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企業買収を除いても、事業維持のための設備投資費は毎年けっこうかかっているようです。

下手な製造業よりもお金がかかっています。

商売の効率はかなり悪そう。
 

 

 

★株価の推移

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※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載

 

若干のアップダウンをしています。

 

 

 

★純利益の推移+来期予想

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※単位:百万円

※来期予想はコンセンサス予想の数値

 

来期は減益予想です。

会社発表のものではないので何とも言えないところはありますが、概ね横ばいのようです。

ちなみに営業利益は増益予想でした。

 

 

 

★PERの推移

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※来期予想のPERは、株価=7,911円で計算

※年度末決算発表時のPERを記載

 

PERは2014年~2016年の水準と、2017年~2018年の水準とでは割と差があるように見えます。

いちおう5年間平均のPERだと11.47倍となり、来期予想純利益をベースにして計算した現在のPERはその平均を少し下回る形となっています。

 

 

 

★株価とPERの推移

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※左軸:株価 右軸:PER

※両方とも年度末決算時のものを記載

 

2017年から株価は高くなっていますが、逆にPERの水準は落ちていることがわかります。

 

 

★(おまけ項目①)EV/EBITDA倍率の推移

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※来期予想のEV/EBITDA倍率は、株価=7,911円で計算

※年度末決算発表時のEV/EBITDA倍率を記載

※EV(企業価値)=時価総額+有利子負債ー現金同等物

※EBITDA(減価償却前営業利益)=営業利益+減価償却

※一般的なEV/EBITDA倍率の適正水準は「8~10倍」(それ以下だと割安、それ以上だと割高と見做される)

※EV/EBITDA倍率を使う目的は「国や業態によって税率や減価償却費の水準が違う企業を比較するため」で、EBITDAは実際の利益を示したものではないですが、「いろんな要素を平準化して比較できる」という点では割と役に立ちます。

 

純利益を元にしたPERだとその水準に変動がありましたが、M&Aの世界で使われる指標のEV/EBITDA倍率で見ると概ね水準が安定しているようです。

いずれにせよ来期予想の数値があながち間違っていないとするならば現在の水準は少し割安に見えます。

 

 

★(おまけ項目②)株価とEV/EBITDA倍率の推移

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※左軸:株価 右軸:EV/EBITDA倍率
※両方とも年度末決算時のものを記載 

 

株価とPERとを比較すると両指標はデコボコにクロスしていましたが、株価とEV/EBITDA倍率とを比較すると、両指標の推移は概ね一致しています。

 

 

 

まとめると、

 

・近年の業績は横ばい傾向

・利益効率も変わっていない

・財務基盤は弱め

・かなりの積極経営

・毎年の設備投資費はかなりかかるので、商売の効率は良くない、というか悪い

・現在のPERの水準は直近5年平均より少し低い

・現在のEV/EBITDA倍率の水準も直近5年平均より少し低い(そして安定している)

 

ということになります。

 

コンセンサス予想が何を根拠にして算出しているのかはよくわかりませんが、いずれにせよ過去のPERやEV/EBITDA倍率の水準からすると、現在の株価は「どちらかと言うと安い」ということになっています。

ただEV/EBITDA倍率は直近5年間で安定していたのでまだ良いですが、PERは水準自体が変わっている可能性があるので注意が必要だとは思います。