3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

イオン(銘柄コード:8267)の決算書

どうもこんにちは。決算書マンです。

今日はイオン(銘柄コード:8267)を取り上げたいと思います。

もはや我々日本人の生活にかかせないインフラとなっているイオンですが、実態はどうなっているのでしょうか?

それでは見てみましょう。

 

 

★売上高

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※単位:百万円

 

売上は少しずつですが、いまだに伸びているようです。

 

 

★営業利益

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※単位:百万円

 

営業利益は2015年にヘコみましたが、それでも堅調に伸びています。

 

 

★純利益

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※単位:百万円

しかし純利益はなんだか安定していません。

2015年→2016年にかけて大幅な落ち込みがあったあとに回復は見せていますが、いまだに2015年の水準には戻せていないようです。

 

 

★売上高&営業利益&純利益

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※単位:百万円

 

純利益は本業以外の利益や損失も含むので何とも言えませんが、ひとまず売上高と本業での利益を示す営業利益は伸びていることから概ね成長傾向にはある感じだと思います。

 

 

★在庫回転日数

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※単位:日

 

在庫回転日数はあんまり変わっていない。

 

 

★売上高&在庫回転日数

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※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)

 

在庫回転日数をほぼ変えずに売上を伸ばせていることは良いことだと思います。

 

 

流動比率 

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手元流動性はギリギリ。



 

自己資本比率 

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自己資本比率は年々下がっています。 

財務基盤はけっこう弱め。 

 

 

ROEROA

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純利益の推移に合わせてROEとROAも推移しています。

それにしても絶対水準が低過ぎる。ROE2%て・・・。

 

 

★営業CF 

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※単位:百万円

 

純利益と比較すると圧倒的に多くの営業CFを稼いでいることがわかります。

原因は多額の減価償却費です。 

 

 

 

 

★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:百万円

 

そしてその多額の減価償却費を裏付けるように毎年多額の設備投資をしています。

 

 

 

★実質FCF

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※単位:百万円

 

その結果、自由資金はほとんど残っていません。 

 

 

★設備投資比率

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 2016年は極端なのですが、例年事業維持のための設備投資費がけっこうかかるようです。

 

 

 

★予想純利益

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※単位:百万円 

※2014年~2018年の営業利益平均成長率:+5.24%

 

意外と堅調に成長しているイオン。

予想純利益はこんな感じです。 

 

 

 

★予想純利益に基づくPER

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※「株価=2,100.50円」で計算

※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定

※「成長率が3年間継続」は今後3年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定

※「成長率が5年間継続」は今後5年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定

※「利益を出し続けている限りは銀行や投資家はお金を貸し続けてくれる」という仮定のもと、借入金の返済義務分は株価のバリュエーションに組み込まないこととする

 

そしてPERですが、「流行りのIT企業」並みにPERが高いようです。

PERは基本的には「その企業に対する現状での期待」を表しているのですが、イオンにかかっている期待は割と過度なのではと思います。

今後そんなに成長するか?

 

 

★成長率を加味した理論利回り

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※理論利回り(%)=1÷PER

 

PERを元にして計算するとだいたい年率2~3%くらいのリターンを期待した方が良さそうです。

こちらの数値は現実的なように思える。 

 

 

まとめると、

 

・本業は割と好調で、成長傾向にある

・財務基盤はけっこう弱め

・利益効率は悪い

・営業CFは純利益よりも圧倒的に多い

・ただし、毎年の設備投資費がかなりかかる

・株式市場ではかなり期待されているらしい

・年率2~3%くらいのリターンが現実的

 

ということになります。

 

バリュエーションがバカ高いのは驚きました。

確かにインフラとしては機能しているとは思うけど、そこまでの高成長は望めないハズ。というか過去の実績から言っても高成長を裏付けるものはあまりない。

個人的に気になるのは「今後外資の総合スーパーがどれだけ日本市場に攻め入ってくるか」です。