3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

バクスター・インターナショナル(ティッカー:BAX)の決算書

どうもこんにちは。決算書マンです。

「ダニエル・ローブのポートフォリオ」で話題に挙がった、バクスター・インターナショナル(ティッカー:BAX)を取り上げたいと思います。

直近3年間で常にトップ保有銘柄であり続けている同社ですが、何がそんなに良いのでしょうか? 

それでは見てみましょう。

 

 

★売上高

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※単位:百万ドル

 

売上はほとんど変わりません。

 

 

★営業利益

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※単位:百万ドル

 

営業利益はアップダウンを繰り返しながらも徐々に増益し、2017年にジャンプアップしています。

 

 

★純利益

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※単位:百万ドル

しかし純利益はアップダウンし過ぎです。

2014年~2015年にかけて一部事業を「バクス・アルタ社」として分社化した影響がモロに出ています。

あまり参考にならない。

 

 

★売上高&営業利益&純利益

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※単位:百万ドル

 

純利益以外はなんとなく上向き気味なのか?

 

 

★在庫回転日数

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※単位:日

 

在庫回転日数は年度を追うごとに良くなっており、2017年は2013年の約3分の1の期間まで早まっています。

 

 

★売上高&在庫回転日数

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※左軸:売上高(百万ドル) 右軸:在庫回転日数(日)

 

売上はほとんど変わっていませんが、在庫回転日数は早まっています。

良い傾向。財務担当者が有能だと思います。 

 

 

流動比率 

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手元流動性も徐々に高まっていっています。
水準自体は普通。

 

 

自己資本比率 

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自己資本比率もどちらかというと上昇傾向。

こちらも水準自体は普通。 

 

 

ROEROA

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純利益が計算のベースなのでなんとも言えない感じです。



 

★営業CF 

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※単位:百万ドル

 

2014年~2016年にかけての事業の分社化でよくわからないことになっていますが、営業CFの水準自体は分社化以前と以後でそれなりに安定しているように見えます。

 

 

 

★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:百万ドル

 

割とお金を使っているようです。

 

 

★実質FCF

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※単位:百万ドル

 

自由資金は残る年もあれば残らない年もある。

見たとおりです。 

 

 

★設備投資比率

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設備投資費自体はコントロールされているようです。

けど普通にはかかる。

 


 

★予想純利益

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※単位:百万ドル 

※2013年~2017年の営業利益平均成長率:+26.20%

 

来期予想純利益は直近の2倍くらいらしいです。

そこから果たして順調に行くのかどうか。

 

 

 

★予想純利益に基づくPER

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※「株価=67.31ドル」で計算

※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定

※「成長率が3年間継続」は今後3年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定

※「成長率が5年間継続」は今後5年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定

※「利益を出し続けている限りは銀行や投資家はお金を貸し続けてくれる」という仮定のもと、借入金の返済義務分は株価のバリュエーションに組み込まないこととする

 

来期予想純利益は直近の2倍ですが、それを加味してもPERはそれほど割安とは言えず。

それ以降もそんなでもないようです。

 

 

★成長率を加味した理論利回り

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※理論利回り(%)=1÷PER

 

だいたい年率4~11%くらいが現実的なようです。

 

 

まとめると、

 

・全体的な業績は上向き気味?

・在庫の回転は明らかに良くなっている

・財務基盤は普通

・営業CFは安定して稼いでいるように見える

・設備投資費は普通にかかる

・年率4~11%くらいが現実的 

 

ということになります。

 

サード・ポイントがバクスターの株式を取得したのは分社後なので、分社化したことによって効率化などの何かしらの企業価値が向上する余地があると踏んでいるのだと思います。

個人的な認識ではダニエル・ローブはどちらかと言うとファンダメンタルズ寄りの人だと思っているので、見ていてけっこう参考になります。

ファンダメンタルズを見ながらも、資金力にものを言わせて自ら企業の改革に乗り出すのはダニエル・ローブだからこそ出来ることだと思います。

そういう意味ではダニエル・ローブのざっくりとした印象は「口うるさいウォーレン・バフェット」です。

比較的長い期間保有してるし。