3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

東海カーボン(銘柄コード:5301)

どうもこんにちは。決算書マンです。

最近の日本の株式市場で人気銘柄となっている東海カーボン(銘柄コード:5301)を取り上げたいと思います。

ちなみに来期予想はトンデモないことになっています。人気銘柄となっている理由はおそらくそれです。

それでは見てみましょう。

 

 

★売上高

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※単位:百万円

 

売上高は横ばいです。

 

 

★営業利益

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※単位:百万円

 

営業利益はかなりバラツキがあり、そして2017年には一気にジャンプアップしています。

 

 

★純利益

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※単位:百万円

純利益も営業利益と同じような推移です。

 

 

★売上高&営業利益&純利益

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※単位:百万円

 

売上高は横ばいながらも利益はバラついています。

とりあえず利益に関しては一貫性はない。

 

 

★在庫回転日数

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※単位:日

 

在庫回転日数はどんどん速くなっています。

良い傾向。 

 

 

★売上高&在庫回転日数

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※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)

 

売上高は横ばいながらも在庫回転日数を速く出来ています。

細かく見たら在庫(棚卸資産)と売上原価が年々減っていっていました。

そもそもの仕入れ値が落ちたのか、在庫の仕入れ量を少なくしたから結果として原価が下がったのかはわからないですが、いずれにせよ売上原価を減らしながら売上高をキープ出来ているので良いことだと思います。

 

 

流動比率 

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当座の資金繰りは問題なさそうです。 



 

自己資本比率 

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自己資本比率もけっこう厚めです。

財務基盤はけっこう強固。

 

 

 

ROEROA

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なぜROEとROAが2015年→2017年にかけて5倍になっているのか。

経営陣の頑張りというより、外部要因の影響が強い気がします。

 

 

★営業CF 

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※単位:百万円

 

営業CFはしっかりと稼げていますが、2017年の数値のみ少し疑問が残ります。

 

 

 

★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:百万円

 

突発的にドカンと使う傾向があるようです。

 

 

 

★実質FCF

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※単位:百万円

 

意外と自由資金はコンスタントに残せていない。

突発的にお金を使うから仕方ないか。

 

 

★設備投資比率

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2013年~2014年にかけて大きな設備投資をしたようですが、その後は製造業にしてはけっこう低めの比率で抑えています。

今後もこれを維持出来るのか。

 


 

★予想純利益

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※単位:百万円 

※2013年~2017年の営業利益平均成長率:+244.34%

 

会社が出している来期予想純利益ですが、直近の純利益の7倍近くになっています。

中国からの需要が激増した結果一気にジャンプアップしたそうです。

この傾向が今後も継続するとは全く思えないのと、2013年~2017年の営業利益平均成長率で計算するとあまりにも現実的でない数値が出てきてしまうので、今回は来期予想のみの計算に留めます。

ちなみに平均成長率を元に計算すると、

3年間継続時の純利益:3兆円

5年間継続時の純利益:35兆円

という数字になりました。

アップルやグーグルもビックリの世界最強企業になります。

 

 

 

★予想純利益に基づくPER

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※株価は2019年月日 

※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定

 

 

来期予想純利益を元に計算するとPERはおどろくほど安くなります。 

 

 

★成長率を加味した理論利回り

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※理論利回り(%)=1÷PER

 

「来期予想純利益の740億円を今後も維持出来る」と思うのであれば年率23%くらいのリターンを期待するのが現実的だと思います。

個人的には「一時的な需要増なので維持出来ない可能性が高い」とは思いますが。

 

 

まとめると、

 

・ここまでの売上高は横ばい

・利益はジェットコースター

・在庫回転日数は速くなっているので良い傾向

・財務基盤はかなり強固

・突発的にお金を使う傾向がある

・設備投資費はそこまでかからなさそう

・現状では年率23%くらいのリターンを期待するのが現実的

 

ということになります。

 

ドラスティックに業績が変化するのは既存株主にとっては非常に喜ばしいことですが、一時的なものである可能性が高いので、少なくとも過度な期待をするのは危険だと思います。

もしも直近の純利益(118億円)がこの企業の本来の実力だとしたらPERは28倍くらいになり、理論利回りも3~4%くらいまで落ちる計算になります。