日産自動車(銘柄コード:7201)
どうもこんにちは。決算書マンです。
昨年末の衝撃的な事件が印象的で、未だにその尾を引いている日産自動車(銘柄コード:7201)を取り上げたいと思います。
なお「準備が出来次第、訂正した決算書を提出します。」と会社はアナウンスしているので、今回の記事は「役員報酬が過少申告されている版の決算書」のデータを元にしたものになります。
いま手元にある決算書と訂正版とでどれだけ数値に乖離があるかは、訂正版が提出されるまではわかりませんが、とりあえず現状を見てみようと思います。
★売上高
※単位:百万円
売上高は若干増えてはいますが、とても順調にとは言っていないようです。
★営業利益
※単位:百万円
営業利益も2016年をピークとして直近2年間は減益のようです。
★純利益
※単位:百万円
しかし純利益は右肩上がりで増えています。
なんだこれ。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:百万円
業績が微妙ではありますが伸びている印象です。
★在庫回転日数
※単位:日
在庫回転日数はあまり変わっていない様子。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)
売上高も在庫回転日数もドラスティックには変化していません。
★流動比率
手元流動性は普通。
自己資本比率は割と低め。
財務基盤は中の下といったところでしょうか。
利益効率は上がっているようです。
ただ虚偽記載込みの数値なので実際とは違う可能性が大いにあります。
★営業CF
※単位:百万円
純利益は今回みたいにウソをつけますが、営業CFはウソをつけない性質のものなのでこの数値自体は割と信憑性が高いです。
こう見ると営業CFはしっかりと稼いでいるようです。
2017年→2018年にかけての落ち込みは少し気になりますが、それでも1兆円以上のCFがあるので問題はなさそうです。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:百万円
けっこうお金をバンバン使っているようです。
★実質FCF
※単位:百万円
自由資金はほとんど残せていません。
★設備投資比率
そして設備投資にめちゃくちゃお金がかかっています。
ビジネスの効率はめちゃくちゃ悪い。
★予想純利益
※単位:百万円
※2014年~2018年の営業利益平均成長率:+5.96%
純利益の数値はそもそもアテになりませんが、会社予想はちゃんと出しています。
そして成長率に関しても2016年~2018年にかけては営業減益なので「そもそも成長するのか?」というのは甚だ疑問ですが、いちおう計算では「期間平均成長率:+5.96%」と出たので、成長する前提で話を進めます。
計算によると5年後よりもまだ直近の方が稼げているようです。
要は今後の業績は横ばいになると考えた方がいいのか?
★予想純利益に基づくPER
※株価は2019年1月9日前場引け時点
※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定
※「成長率が3年間継続」は今後3年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定
※「成長率が5年間継続」は今後5年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定
※「利益を出し続けている限りは銀行や投資家はお金を貸し続けてくれる」という仮定のもと、借入金の返済義務分は株価のバリュエーションに組み込まないこととする
来期予想も3年後も5年後もそこまで大きく変わりません。
絶対水準として「PER=7倍」というのは安く見えますが、自動車業界の中での相対水準としてはそんなでもない気がします。
★成長率を加味した理論利回り
※理論利回り(%)=1÷PER
「来期予想が正しい」かつ「今後減益しない」という条件付きならば年率14%くらいは期待出来そうです。悪くない。
まとめると、
・業績は全体的に横ばいムード
・営業CFはしっかりと稼いでいる
・財務基盤はどちらかと言うと弱め
・設備投資費に毎年かなりのお金がかかるので、ビジネスの効率は悪い
・来期予想の水準を今後も維持出来るならば年率14%くらいを期待するのが妥当
ということになります。
営業利益や純利益の数値がそもそも信用出来ないので何とも言えませんが、少なくとも営業CFはしっかりと稼いでいるのは好印象でした。
訂正版が発表されたらまた改めて調べてみようと思います。