ボシュ・ヘルス・カンパニー(旧ヴァリアント・ファーマシューティカルズ)(ティッカー:BHC)
どうもこんにちは。決算書マンです。
以前に「ジョン・ポールソンのポートフォリオ」で調べた時に保有比率1位だったボシュ・ヘルス・カンパニー(ティッカー:BHC)を今回は取り上げたいと思います。
旧会社名はヴァリアント・ファーマシューティカルズです。
空売り投資家として有名なシトロン・リサーチのアンドリュー・レフトに名指しで批判されていたりと何かと悪いイメージがつきまとっていたので、会社名を変更してそのイメージだけでも払拭したかったのだと思います。
それでは見てみましょう。
★売上高
※単位:百万ドル
売上高は2015年をピークに少しずつ減少していっています。
★営業利益
※単位:百万ドル
営業利益にいたっては2014年をピークに下がっています。
明らかな衰退傾向。
★純利益
※単位:百万ドル
しかし純利益は売上・営業利益と全く様相が違います。
いずれにせよデコボコしていて安定感は皆無。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:百万ドル
純利益は本業以外の利益や損失など一時的な要因を含むのであまりアテにならないと思っています。
そういう意味では2014年~2015年くらいをピークとして、全体的には業績は下降傾向にあるようです。
★在庫回転日数
※単位:日
在庫回転日数はどちらかと言うと遅くなっているようです。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(百万ドル) 右軸:在庫回転日数(日)
2016年に関しては売上が減少しているのに在庫回転日数は遅くなっているというけっこう怪しげな現象が発生していましたが、翌年には両指標とも足並みを揃えているのでそういう意味では持ち直した(?)ようです。
★流動比率
手元流動性はギリギリ。
財務基盤は割と弱めなようです。
全く一貫性がないので何とも言えない。
★営業CF
※単位:百万ドル
純利益はデコボコでしたが、営業CFはかなり安定した数値を記録しています。
営業CFが安定している主な要因は「多額の減価償却費」です。
見た目の業績は微妙だけど、実質は安定している可能性があります。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:百万ドル
普段はそうでもないけれども、突発的にお金を使う傾向があるようです。
★実質FCF
※単位:百万ドル
気まぐれなので自由資金が残っていたり残っていなかったり。
★設備投資比率
会社買収を含めると、ときたま大量のお金を使っているように見えましたが、設備投資費自体は低く抑えることが出来ているようです。
効率自体は良い。
★予想純利益
※単位:百万円
営業利益がぐにゃぐにゃしていて成長率の再現性が無いと考えたため、今回は直近の純利益と来期予想の純利益のみ記載します。
さすがに純利益は減るようです。やはりデコボコしていて再現性が無い。
★予想純利益に基づくPER
※株価は2019年1月7日終値
※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定
※「利益を出し続けている限りは銀行や投資家はお金を貸し続けてくれる」という仮定のもと、借入金の返済義務分は株価のバリュエーションに組み込まないこととする
そして来期予想の純利益をもとに計算したPERはめちゃくちゃに低い数値となりました。
来期予想の純利益額を今後も変わらず出し続けれてくれるならば、非常に割安だと思います。
★成長率を加味した理論利回り
※理論利回り(%)=1÷PER
過去の実績だと純利益がデコボコしていたので何とも言えませんが、来期以降も純利益額が継続するのであれば年率17%くらいの利回りが期待出来るという結果となりました。
まとめると、
・全体的な業績は2014年~2015年をピークにして下降傾向
・財務基盤はけっこう弱め
・純利益は全く安定していないが、営業CFは非常に安定している
・設備投資費をかなり低く抑えている
・たまに大きな買い物をする傾向がある
・来期予想の純利益額が継続すると仮定するなら、年率17%くらいのリターンを期待出来る
ということになります。
損益計算書はぐちゃぐちゃだけどCF計算書は割と好感が持てて、そして条件付きではありますが「かなり割安そうな銘柄」であることがわかりました。
製薬業界の再編にもけっこう深く立ち入っている企業なので、ポールソンは「業界再編による何がしかのメリット」と「バリュエーション評価による割安さ」の2つの理由でこの企業を保有しているのではないかと思います。