3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

ソースネクスト(銘柄コード:4344)の決算書

どうもこんにちは。決算書マンです。

今日はソースネクスト(銘柄コード:4344)を取り上げたいと思います。

昨年から株価が急騰している同社ですが、決算はどうなっているのでしょうか? 

それでは見てみましょう。

 

 

★売上高

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※単位:千円

 

売上高はトントン拍子で伸びています。

ただ2017年~2018年にかけてはそこまで伸びていない模様。

 

 

★営業利益

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※単位:千円

 

営業利益も2017年までは順調に伸びていましたが、2018年に入ってしぼんでいます。

 

 

★純利益

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※単位:千円

好調な売上高と営業利益に対して、純利益の水準はここ数年でほとんど変わっていません。

 

 

★売上高&営業利益&純利益

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※単位:千円

 

売上だけが急激に伸びているようです。

利益はそれほど伸びていない。

 

 

★在庫回転日数

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※単位:日

 

そして在庫の回転は少しだけ遅くなっています。

 

 

★売上高&在庫回転日数

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※左軸:売上高(千円) 右軸:在庫回転日数(日)

 

売上の伸びに対して在庫の回転の遅延は微々たるものなのでそれは良いのですが、2017年~2018年にかけては売上はほぼ変わらないのに在庫の回転だけ1.5倍遅くなっています。

売れると思って在庫を仕入れ過ぎたのか?

 

 

流動比率 

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手元流動性はそれなりにあるようです。



 

自己資本比率 

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自己資本比率は普通です。

 

 

 

ROEROA

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一見業績は好調ですが、利益効率は年々下がり続けていることがわかります。

同じような自己資本比率の2014年と2018年を比べるとその差がハッキリとわかります。

とは言え「ROE=20%・ROA=10%」はかなり優秀ですが。


 

 

★営業CF 

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※単位:千円

 

2018年のみおかしなことになっています。細かい要素の積み重ねで営業CFがマイナスになっていました。

それ以外の年度は普通なので、一時的なものである可能性は高いのですが、この傾向が以降も続くようであれば、注意した方がいいです。

 

 

 

★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:千円

 

ここ直近2年間で大きく投資をしているようです。

 

 

★実質FCF

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※単位:千円

 

2016年までは自由資金を残せていましたが、それ以降はむしろマイナス。

かなり積極的に投資しています。

 

 

 

★設備投資比率

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2017年~2018年の数値はアテにならないですが、概ね30%前後の設備投資比率のようです。 

 

 


 

★予想純利益

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※単位:千円 

※2014年~2018年の営業利益平均成長率:-0.16%

 

来期は大幅な増益予想となっています。

ただ計算式にあてはめると今後はそこまで伸びない計算になるので、実質的には「来期の純利益が今後も続く」という前提で話を進めます。

 

 

 

★予想純利益に基づくPER

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※「株価=629円」で計算

※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定

※「成長率が3年間継続」は今後3年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定

※「成長率が5年間継続」は今後5年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定

※「利益を出し続けている限りは銀行や投資家はお金を貸し続けてくれる」という仮定のもと、借入金の返済義務分は株価のバリュエーションに組み込まないこととする

 

PERの絶対水準自体はかなり高いです。

少し横道に反れますが、最近決算書と株価の関係を別で調べていて「PERは企業間のバリュエーションの相対比較の指標として見るよりも、その企業の独自のバリュエーション指標として見た方がいいんじゃないか?」という仮説に行き当たりました。

つまりは一般的に言われている「PER=10倍以下は割安で、PER=30倍以上は割高」というふうに見るのではなく、「この企業の今のPERはこの企業の過去のPERの水準からすると割安・割高」という見方の方がいいんじゃないかということです。

そういう意味ではこの企業の「PER=47倍」は一般的な解釈だと「割高」なのですが、過去のPERの水準からするとどうなのか・・・。

現時点ではサンプル数が少ないので暫定的な仮説なのですが、また記事にするかもしれません。

次に行きましょう。

 

 

 

★成長率を加味した理論利回り

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※理論利回り(%)=1÷PER

 

PERを基準とした理論利回りで言えば、年率2%くらいのリターンを期待するのが現実的なように思えます。

 

 

まとめると、

 

・事業規模は拡大している

・利益は付いていっていない気がする

・利益効率の絶対水準はまだ高いが、年々下がり続けている

・財務基盤は普通

・直近2年間で積極的に投資をしている

・一般的な解釈をするならば年率2%くらいのリターンを期待するのが現実的

 

ということになります。

 

「利益効率の悪化に歯止めがかかるのか」と「営業CFが来年度にはもとに戻るのか」がこの企業への投資を考える上でのポイントだと思います。