3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

サイバーダイン(銘柄コード:7779)の決算書

どうもこんにちは。決算書マンです。

今回はサイバーダイン(銘柄コード:7779)を取り上げたいと思います。

前にNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で山海社長が取り上げられていて、ものすごく感動したので決算書を見てみたのですが、その時は「なんだこのろくでもない企業は?感動を返せ!」という感想でした。

それから幾分か経って、改めて決算書を見てみたら「もしかしたら企業としては正しい方向に向かっているのではないか?」と思いました。

それでは見てみましょう。

 

 

★売上高

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※単位:百万円

 

売上高は順調に伸びています。

2017年~2018年は少し停滞気味ですが。 

 

 

★営業利益

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※単位:百万円

 

営業利益は2014年~2015年にかけて「ヤバいんじゃないか?」という感じでしたが、その後は赤字幅を年々減らしています。

 

 

★純利益

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※単位:百万円

純利益もまた然り。

少しずつですが、赤字幅を減らしています。

 

 

 

★売上高&営業利益&純利益

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※単位:百万円

  

売上が伸びるにつれて赤字も縮小する傾向が見て取れます。

損益分岐点にかなり近づいているのではないか、と思います。

そもそも黒字を出してほしい、というのはありますが。

 

 

★在庫回転日数

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※単位:日

 

在庫の回転はけっこう遅くなっているようです。

一年で在庫が一回転するかしないか、のようです。

 

 

 

★売上高&在庫回転日数

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※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)

 

売上の伸びと在庫の回転が何となくリンクしているように見えます。 

 

 

流動比率 

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手元流動性は抜群。

 


 

自己資本比率 

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自己資本比率はもうこれ以上ないってくらい高いです。 

 

 

 

ROEROA

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そもそも赤字なので何とも言えませんが、徐々にプラス圏に近づいています。 

まあ赤字額が同じでも資本調達すれば減るようにはなっているのですが。
 

 

★営業CF 

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※単位:百万円

 

2017年に「ようやく営業CFがプラス転化した!」と思ったら2018年には再びマイナス圏に行っています。

ただ営業CFベースでの赤字はほぼ脱したように見えます。

 

 

 

★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:百万円

 

おかまいなしに投資し続けています。

それでも資金調達が出来るからどうにかなっているという。

 

 

★実質FCF

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※単位:百万円

 

当然の結果となっています。

 

 

 

★設備投資比率

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もはや見ても意味がありません。 

 

 


 

★予想純利益

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※単位:百万円 

※2014年~2018年の営業利益平均成長率:+13.07%

※来期予想は会社予想ではなく、コンセンサス予想

 

平均すると営業赤字が毎年13.07%ずつ減っていっている、ということになっています。

ただしこのペースでも黒字化には時間がかかりそうです。(そんな単純なものではない気もしますが)

なお会社側は「業績予想を出すのは難しいので出しません」としています。

 

 

 

 

★予想純利益に基づくPER

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※「株価=594円」で計算

※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定

※「成長率が3年間継続」は今後3年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定

※「成長率が5年間継続」は今後5年間は純利益が成長するが、その後は成長がストップして横ばいで変化しない場合を仮定

※借入金の返済義務分は株価のバリュエーションに組み込まないこととする

 

もうよくわからない数値が並んでいます。

 

 

 

★成長率を加味した理論利回り

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※理論利回り(%)=1÷PER

 

PERを根拠とすると「現時点で保有しても、そこまで損失を被るわけではない」ということになっています。

 

 

まとめると、

 

・業績は伸びている

・赤字幅は減少傾向

・営業CFはほぼほぼプラス転化している

・財務基盤は日本最強クラス

・在庫の回転はそもそも遅いし、更に遅くなっている

・設備投資や投資は毎年けっこう行う

 

ということになります。

 

赤字企業なのでPERの算出は意味がないですが、業績の推移を見ていくと「この傾向が続けば、ちゃんとした企業になるのではないか?」という気がしてします。

ただ数年前にこの企業は空売り専門ファンドのシトロン・リサーチに「競合他社は製品化と業績の面で先行しているので、それを鑑みるとこの企業のバリュエーションは高すぎる」と名指しで批判を受けています。

もちろんシトロンはポジショントークをしているだけなので、そのまま受け取ってはいけませんが、「競合他社の存在」は気になるところです。

大学の研究費よりもおそらくはるかに多いであろう資金を資本市場から調達している同社は果たして「競合他社を凌駕する独自の強み」を生み出せているのかどうかは気になります。