フィンテック・グローバル(銘柄コード:8789)
どうもこんにちは。決算書マンです。
今年の3月に埼玉に「ムーミンバレーパーク」を開業させることで一躍有名になったフィンテック・グローバル(銘柄コード:8789)を取り上げたいと思います。
昨年末に発表された入場料は大人1,500円・子供1,000円とお手頃価格。
裏を返せば単価は高くないので相当数の集客が必要になります。
それでは見てみましょう。
★売上高
※単位:千円
とりあえずまだムーミンパークの売上は含まれていませんが、2016年をピークに減少傾向にあるようです。
なお2017年→2018年の急減は不動産子会社を売却して連結決算の対象から除外したからだそうです。
★営業利益
※単位:千円
営業利益はボロボロ。
ムーミンパークへの先行投資分が含まれるので何とも言えませんが、あまりにもよろしくない。
大丈夫か?
★純利益
※単位:千円
純利益もまた然り。
★売上高&営業利益&純利益
※単位:千円
パッと見は衰退傾向にあるようです。
ムーミンパークでどれほど盛り返せるのか?
★在庫回転日数
※単位:日
在庫回転日数は明らかに遅くなっています。
ムーミンパーク用やその他に仕入れた不動産の増加分が大きいようです。
★売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(千円) 右軸:在庫回転日数(日)
売上の減少(仕方ないけど)&在庫回転日数の大幅な遅延はあまりよろしくなく見えます。
★流動比率
流動比率は下がり続けていますが、それでも普通には手元流動性を確保しているようです。
自己資本比率も普通。
財務基盤は少なくとも弱くはないようです。
全然参考にならない。
★営業CF
※単位:千円
明らかに問題ありのCF計算書です。
ただ営業CFのマイナス分のほとんどが「棚卸資産の増加=販売用不動産の仕入れの増加」なので、不動産デベロッパーの業務を行っている企業ならばだいたいこんな感じのCF計算書になります。
そういう意味では普通なのですが、一般的な企業として見た場合には問題ありだと思います。
★実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)
※単位:千円
こちらもまた参考にならない。
自己資本比率が下がる要因はこれだと思います。
★実質FCF
※単位:千円
自由資金は全くなし、というか資金調達しないと回っていかない状態。
★設備投資比率
だいたい営業CFがマイナスなので参考になりません。
★予想純利益
※単位:千円
※会社側が来期予想純利益を公表していないため、今回の来期予想は「会社予想の経常利益」で代用
来期の売上・営業利益・経常利益の会社予想値は公表しているのですが、「純利益に関しては合理的な算出が困難なため、会社予想を出しません。」とアナウンスしているので、かなり無理やりですが来期予想経常利益で代用します。
ちなみに会社予想では来期の売上は直近の3~4倍くらいになると言っています。
それって合理的に算出した結果なのか?
★予想純利益に基づくPER
※「株価=132円」で計算
※「来期予想」は来期で純利益の成長がストップして、その後は横ばいで変化しない場合を仮定
営業利益成長率がアテにならないので来期予想のみにします。
経常利益で代用してもPER=72.93倍は高過ぎます。
★成長率を加味した理論利回り
※理論利回り(%)=1÷PER
そして理論利回りは経常利益で代用したとしても年率1.37%くらいしかありません。
かなり微妙。
まとめると、
・会社の業績はボロボロ
・営業CFがマイナスなのはそもそも頂けない
・財務基盤は普通
・会社はムーミンパークに対してかなり強気な予想を出しているように思える
・リターンはあまり期待出来そうにない
ということになります。
個人的には、実績を見れば見るほど「あまりこの会社は保有したくない」と思えてきました。
これで株価がぐんぐん上がるってことは参加者はかなり先のことまで期待してお金を出している、ということになります。
実際は「株価が上がるからそれに乗るべく買っている」というだけなのでしょうが。
慎重に行くのであれば、ムーミンパークの進捗がわかる開業以降の決算書を見てから投資判断すべきだと思います。
ムーミンパークにとてつもない期待を抱くのであればまた話は別ですが。