3分で読める決算書

「投資はしたい!けど決算書は読めない!」という人のために、決算書の概要を3分くらいで読めるようにまとめたブログです。グラフを使って直感的に理解できるように努めます。個人的な銘柄研究の忘備録も兼ねています。リクエスト募集中。

トヨタ自動車(銘柄コード:7203) 2019/1/22 リライト版

どうもこんにちは。決算書マンです。

最近PERと株価の関係について思うところがあり、前に書いた記事をリライトしてみることにしました。

要点としては「PER=15~20倍が適正水準で、それ以下は割安、それ以上は割高という見方をする」というものに「そうではないんじゃないか?」という疑問を投げかけるものになります。

発端は「万年高PER銘柄」と「万年低PER銘柄」があることです。

つまりは「PERは全ての企業に適用できる相対的なものではなく、その企業の独自の水準があるんじゃないか?」ということです。

「PER=5倍」だからと言って必ずしも割安とは言えず、過去にさかのぼった時に「過去の平均PER=3」だったらば、むしろその企業のPERの水準は割高になり、逆もまた然りという感じです。

とりあえずトヨタ自動車(銘柄コード:7203)を見てみましょう。

 

 

※設備投資比率の項目まではリライト前と同じなので、読み飛ばしてもらって大丈夫です。

 

 

 

売上高

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※単位:百万円

 

2017年に一瞬ヘコみましたが、概ね順調に売り上げを伸ばしているようです。

その額29兆円。 

 

 

営業利益

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※単位:百万円

 

売上高は伸びていっていましたが、営業利益は横ばい感が強いです。

 

 

純利益

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※単位:百万円

純利益はなんとなく伸びていっている感じです。 

 

 

 

売上高&営業利益&純利益

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※単位:百万円

 

売上は伸びているけれども、利益はイマイチついてきていない感があります。

 

 

在庫回転日数

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※単位:日

 

在庫の回転は毎年ビミョウに遅くなっているようです。 

 

 

売上高&在庫回転日数

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※左軸:売上高(百万円) 右軸:在庫回転日数(日)

 

売上の伸びにしたがって在庫の回転日数も遅くなっていっています。

「商売が上手くいっていない」とは言えませんが「万事順調」とも言えない感じです。

 

 

流動比率 

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意外とギリギリの水準を保っているようです。

とは言っても銀行や投資家がいくらでもお金を貸してくれそうですが。 

 

 

自己資本比率 

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いちおう年々上昇はしているようですが、自己資本比率は割と低めです。

 

 

ROEROA

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ROEおよびROAは横ばいみたいです。

そして自己資本比率の割には大して高くない。

 

 

営業CF 

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※単位:百万円

 

経営はかなり堅実なようです。

営業CFが純利益を毎年1兆円以上上回っています。

 

 

実質投資CF(設備投資の売買+子会社の売買)

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※単位:百万円

 

設備投資と企業買収にはそれなりにお金を使っている模様。 

 

 

実質FCF

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※単位:百万円

 

自由資金は大量にあるようです。

AA株を発行した意味がわからない。目論見書を読んでもやっぱりわからない。

おまけに自社株買いしてるし。 

 

 

設備投資比率

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うーん、営業CFのけっこうな割合を設備投資費として使わなければならないようです。

効率は普通にしか見えない。

 

 

↓↓↓↓↓ ここからPERについてのリライト項目です

 

 

★株価の推移

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※単位:円
※年度末決算発表時の株価を記載

 

まずは株価の推移を見てみると、だいたい5,500円~8,000円の間をウロウロしているようです。

 

 

★純利益の推移+来期予想

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※単位:百万円

 

来期の会社予想は減益予想です。

ただそこまで減る訳でもない。

 

 

 

★PERの推移

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※来期予想のPERは、株価=6,817円で計算

※年度末決算発表時のPERを記載

 

そして問題のPERの推移ですが、直近5年間の平均は10.09倍ということになっています。

そして来期予想のPERは9.67倍なので、一般的な見方をすれば現在の株価は「割安」ということになりますが、直近5年間の平均PERの10.09倍と比べてみると、その水準はあまり変わりません。

果たして割安と言えるのか?

 

 

★株価とPERの推移

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※左軸:株価 右軸:PER

※両方とも年度末決算時のものを記載

 

概ね株価とPERの推移が連動しています。

ただいずれにせよ株価が一番高い2015年でもPERは12.43倍で、一般的な見方をすれば「若干割安」ということになりますが、その後株価とPERは下がっています。

 

↑↑↑↑↑リライト部分はここまでです。

 

 

まとめると、

 

・売上は成長傾向

・利益および利益効率は横ばい(そしてそんなに高くない)

・割と借金が多い

・設備投資費はけっこうかかる

・やっぱりなんでAA株を発行した?

 

ということになります。

 

PERについてはサンプル数が少ないのと、「常に黒字か赤字の企業じゃないと平均PERの算出が困難」なのでまだ何とも言えません。

あと「2014年~2018年だとどちらかと言えば好況時だったけど、リーマンショックがあった時などの不況時にはどうなっているのか?」という問題も抱えています。

ただこちらで調べた感じだと「好況時に不況時にもPERの水準はそこまで変わらない(PERの幅がある程度一定になっている)」ということになっています。

仮にこの考え方があながち間違っていないようなら、投資判断をする上で必要以上に高PERに警戒する必要や、逆に低PERで油断する危険性がなくなるのではないかと思います。

今のところのざっくりとした仮説は、「PERがその企業の独自のものだとしたら、平均PERの水準に株価は収束するハズ」というものです。

少し時間をかけて検証していきたいと思っています。

なのでリライトは割と頻繁に行う可能性が高いので、よかったらところどころ読み飛ばしながら見てみて下さい。