ティッシュペーパーもとい、クリネックスもとい、キンバリー・クラーク(ティッカー:KMB)
どうもこんにちは。決算書マンです。
今回は大手ティッシュペーパー製造会社であり、「クリネックス」ブランドでみなさんもお馴染みであろうキンバリー・クラーク社(ティッカー:KMB)を取り上げます。
ちなみに海外では「ティッシュペーパー=クリネックス」ではなく、「クリネックス=ティッシュペーパー」という認識が一般的だそうです。
では見てみましょう。
売上高
※単位:百万ドル
売上は明らかに右肩下がりです。
ただ直近3年間は何とか現状維持をしているようです。
営業利益
※単位:百万ドル
売上の右肩下がり感とは裏腹に営業利益は回復してきています。
純利益
※単位:百万ドル
純利益も営業利益と歩調を合わせて回復していきているようです。
売上高&営業利益&純利益
※単位:百万ドル
売上は減少していますが、総じて見てみると「安定」といった印象の方が先に立ちます。
在庫回転日数
※単位:日
売上は減少していますが、在庫の回転は少しずつ速くなっているようです。
これは良い傾向。
売上高&在庫回転日数
※左軸:売上高(百万ドル) 右軸:在庫回転日数(日)
だいたい売上の減少に歩調を合わせて在庫回転も速くなっていますが、2015年~2017年にかけては売上自体はそこまで変わらないのにも関わらず在庫の回転は順調に早くなっていっています。
流動比率はビミョウ。
短期の資金繰りは借り入れなどでまかなっている可能性が高いです。
2013年→2014年の落差がひどすぎる。
自己資本比率は風前の灯火です。
いくら何でも低すぎる。かなり不安。
自己資本比率のせいでROEはよくわからないことになっていますが、ROAを見てみると直近3年間は上昇していることから、実質的には利益効率は上昇傾向にあるようです。
グラフは見辛いけど、「ROEのお化粧」の実例を示す非常に良いサンプルです。
営業CF
※単位:百万ドル
純利益と比べると営業CFはいくぶんか安定しているように見えます。
たぶん減価償却費の影響が大きいのではないか。
実質投資CF
※単位:百万ドル
支出は割とコントロールされているように思えます。
実質FCF
※単位:百万ドル
売上はあれだけ減少していたのにも関わらずしっかりと自由資金を確保しています。
このことから考えると、あの異常に低い自己資本比率は獲得した自由資金の大半を使って配当や自社株買いなどの株主還元を滅茶苦茶に行い、その代わりに借金をした結果なのではないかと推測出来ます。
ただ世の中にはフィリップモリス社みたいに会計上債務超過に陥ってまでも手厚い株主還元を行う会社があるほどなので、そういう意味ではまだまだですね。
設備投資比率
製造業にしてはけっこう抑制が効いた設備投資比率なのではないかと思います。
だいたい30%~40%の間です。
まとめると、
・売上高は減少傾向
・利益効率改善により営業利益や純利益は増加傾向
・商品の回転は段々速くなってきている(在庫管理が上手くなってきている?)
・財務基盤は非常に脆弱
・資本政策以外の経営は割と堅実かつ向上心があるように思える
ということになります。
今まで具体的な数値はあまり気にしていなかったのですが、改めて見てみるとティッシュペーパーで約180億ドル(=約2兆円)もの売上を挙げているんですね。
利益効率自体は改善しつつあるので、あとは財務基盤さえまともになれば長期投資の対象としては良いのかもしれません。